晴れ「プレジデント」2008.6.16号より。音符マイク

谷村新司の言葉だった。その“ラブ”とは単に男女間の恋愛感情だけを意味していない。家族愛、隣人愛、人間愛、地球愛・・・苦しんでいる人に手を差し伸べるのも愛、生きる力を与えるのも愛だと語る。実にスケールの大きな“ラブ”だった。それが谷村氏らしいところでもあるな。

彼にはもうひとつのテーマがあった。それは“夢”だった。いつも夢を追い求めている人生でありたいという。だから彼の歌のテーマは“愛と夢”ということになる。一見平凡のようで奥が深そうだ、と感じるのはこれを言っているのが谷村氏だからだ。もしこれを新人やアイドル歌手が言ったところで何の説得力もないだろう。独自の谷村ワールドを創り上げた氏だからこその言葉の重みを感じる。

アリスの活動を休止したのは1981年だった。その後はソロシンガーとしての活動をしながら、手探りでアジア進出の道を探し始めていた。その時の“夢”は「アジアの仲間を募って一緒に語り、歌いたい」というものだったのだ。その夢が実現したのは3年後だった。韓国からチョー・ヨンピル、香港からアラン・タムを迎えて1984年に後楽園球場でコンサートを開催している。

3人は三国志を気取って義兄弟の契りを結んだという(笑)。アジア各地を回る活動は10年間も続いていた。しかし、それはほとんど赤字だったようだ。実に志の強さを感じますね。その後、アジアでの活動に中国が注目して2004年に上海音楽学院の常任教授に就任している。(これは有名な話ですね。)