曇 「R25」2007.11.22号より。バス

“バス旅”とはいっても、観光バスでの旅行ではなく、ここではもっと身近にある路線バスのちょっとした旅気分のようなものを意味していた。都内で急いでいるときは、だいたい電車を利用する方が間違いなく予定時間に目的地に着ける。地下鉄もかなり網の目のように張り巡らされているので便利な乗り物だ。

しかし、たまに場所によってはバスでなければ近づけないところもある。また、いつもは電車で行くところをバスに乗ってみると、意外に知らない地名(バス停)がアナウンスされたりする。それから路線バスによっては、よくこんな狭い商店街や住宅街を走れるものだと、その運転士のドライビングテクニックに感心したり、スリルを味わったりもしたことはある。

川が流れていないのに○○橋とかそこにある会社や学校の旧名での呼び名がバス停の名称になっているところもあって面白い。そんなところにも街の歴史を感じたり。しかも、信号以外でも2、3分おきに停車するので窓からもゆっくり風景や商店の看板などが眺められる。

私も今は自宅と駅の間はバスを利用しているが、乗客の顔だけは見覚えてしまう。そんな知った顔も時間帯や経た年数でも変わっていく。学生だった若者がやがて社会人となり、数年するとその顔もいつしか見えなくなっている。どこかへ転勤でもしたのだろうか、結婚でもしたのだろうかなどと勝手な想像してしまう。

当たり前のことだが、人が成長した分だけ自分だって歳を重ねている。バスに乗っている時の方が、電車に乗っている時よりいろいろと発見がありそうだ。電車だとついつい居眠りをしてしまう。たまにはバスに揺られながらその日の日記のネタなども考えることもあるな。もしかしたら、これもそうだったろうか・・・