「メトロポリターナ」2007.9月号より。

べつに東京に限るわけではないが、都市の裏側、つまり路地裏に入れば表通りとはまた別の表情に出会えたりもする。

どこでも街の路地裏にはそこに住む人の生活感があるものだ。表通りより親密感さえ感じられるもの。しかし、そんな路地裏もいつまでもあるわけではない。街の表情は生き物のように変化を続けているからだ。

今でしか出会えない風景も多い。都市はいつも建築物の建て替えが繰り返されている。古い建物は取り壊され更地になり、駐車場になり、高層マンションやビルが建設される。

そういえば、たまに子供のころの実家やその周辺の白黒の写真を見ると、人よりもむしろすっかり変わってしまった風景のほうが懐かしい。もう、一瞬にして頭の中は40年ほど前にタイムスリップしてしまう。

当時一緒に遊んだ友だち、遊び、食べた物、昆虫、植物・・・。昔遊んだ雑木林や広場はもうどこにも見当たらない。やはり路地裏も幼かったころの風景写真も今となっては別世界・・・(のような気がする)。