「日経新聞、夕刊」2007.2.9付けより。

追想録というコーナーに安藤百福さん(日清食品創業者)のことが取り上げられていた。今年の1月5日に96歳で亡くなられた。すでにこの人のことはあちこちで語られている。

安藤さんが世界初のインスタントラーメン(チキンラーメン)を開発したのは48歳のころだった。しかも、戦後の混乱期に全財産を失い、ゼロからの出発であったのだ。

今ではインスタントラーメンは「世界食」となっている。競合メーカーも含めて年間860億食が食べられているといっても想像がつかない。

現社長の安藤宏基さん(百福氏の二男)は自宅で昼も夜もなく小麦粉を練って油で揚げる父の姿を見て育ったという。休日に一緒に遊んだ記憶はほとんどないらしい。

しかも、90歳を過ぎても「宇宙食」を作りたいと思ってプロジェクトに着手している。そして、2005年「スペース・ラム」は日本人宇宙飛行士の野口聡一さんとともに、宇宙に飛び立ったのだ。

歳をとっても好奇心は旺盛だったようだ。その一つの面白い例が「ガンクロ」と呼ばれるファッションだった。「彼女たちはどうしてあんな格好をしているのか」その理由を調べるよう求めたという。

一過性の流行さえも見過ごさず、新規事業に生かそうと考えていたようだ。もし、生きていたら「ガンクロラーメン」のようなものが近い将来生れたのであろうか・・・。

90歳を過ぎても夢を追って意欲を持ち続けるのは実にすごいものがある。生きているだけでも大変なのに。