『この仔なんだけどね』
あっけにとられた、って顔に書いてある。
『.....今日はタバサの初七日なんだけど.....』
おっ。声が地を這ってるぞ。ヤバいやばい。でもお願い、上目遣いで睨むのはやめて。
僕は努めて明るい声で、こう言い切りました。
『タバサは足が悪くて、犬がからかっても高い所に逃げられないから可哀そうだって、だからタバサが天寿を全うしたら、犬を飼うって 約束だったよね?』
20号線沿いのペットショップで、腹黒さ満開でカミサンに微笑みかける僕。正直、内心はヒヤヒヤです。彼女が機嫌を 本当に 損ねたら。半日以上残っている休日は台無しになってしまいます。
『抱いてみて、ほら。大きくなる犬種だけどレトリバーほどじゃないよ』
ええい、触れ合わせてしまえ!『四つ足LOVE(犬猫関わらず)』なカミサンのこと、最後は温もり勝負だろう.....と、思った僕の意図は。何度も下見に来て、抱いて頬ずりしたボーダーコリーの仔犬、後のロワ君が承知していたようです。
仔犬は彼女の腕に移された途端、ペロリと鼻先を舐めたのでした。
『....っ。ボーダーコリーって.....』
カミサンは、猫犬の種類(あれ?血統っていうのかな?)に何故だかとても詳しいんです。
『いい仔だよ?すごく賢いし。男の仔だから、きっとママに懐くだろうなぁ!』
その間も、仔犬はペロペロとカミサンの頬を舐め続け.....。
『そうだよね。約束してたよね』
仔犬に頬ずりしたカミサンは、夜でもないのにちょっと涙目でした。
こうして、ムクムクと可愛いボーダーコリーの仔犬が家にやって来ました。

