この裏庭にはかつて4本のソメイヨシノと1本の山桜、そして鬱金桜(うこんさくら)が1本あった。
あまりにも木が大きくなりすぎたので、山桜以外の木を泣く泣く切った。
30年以上昔のことだ。
その山桜も大きくなりすぎたが、幸い他人の邪魔にならないのでそのままにしている。
「君はボクにはいささか美しすぎる」と僕は言った。
彼女は笑った。「そういうのは社交辞令としても耳に心地よいけど」
・・・・・
彼女の微笑みはより深くなった。でも僕の言ったことは嘘でもなく、社交辞令でもなかった。彼女は僕が真剣に興味を抱くには美しすぎた。・・・それに加えて、彼女の微笑みは本物であるにはいささか素敵すぎた。
村上春樹のこうした文章にはうっとりする。
軽やかで、深く、もしボクが恋をする年頃なら胸の奥を芯まで突き刺すだろう。
今日のように、どんよりした天気が心に喜びを与えない日にはなおさら響く。
バーズという名のバンドは英米にある。
USの有名なバーズは Byrds。UKのマイナーなバーズは Birds だ。
80歳になったストーンズのライヴ映像を観たら、ミックとキースとロン・ウッドの3人だけ。
あとはサポートメンバーだった。
そのロ・ウッドの出発点が Birds で17歳のときだ。
64年から67年まで活動し、4枚のシングルを残した。
85年に Edsel が初のアルバムとして復刻したのでボクは知った。
この時代のロンドンバンドだからR&Bバンドだが、最近は「フリークビート」という新しいロックジャンルのコンピにも収録されている。
デビューシングルから You're On My Mind。ロン・ウッドの作品だ。
有名なアメリカのバーズは語る必要はあるまい。
67年の Birds 解散後、ロン・ウッドとベースの Kim Gardner は Creation に加わったが、このバンドも68年には解散したので、2人は一時期袂を分かった。
が、69年、ロン・ウッドの7つ上のお兄さん Art Wood が結成した Quiet Mekon に2人は参加した。
他のメンバーは Kenny Jones, Rod Stewart, Ian McLagan だ。
メンバーを見てお分かりのように、Art と Kim の代わりに Ronnie Lane と Kenny Jones が加わると Fases になる。
さて Quiet Melon は数か月の命だったので、レコードを残すことはなかったがスタジオ音源が残っており、
割と早い時期に発掘された。
お兄さんのアート・ウッドは、 The Artwoods というR&Bバンド(モッズバンドと言ってもいいが)を率いていて、ボクの大大大好きなバンドだ。
このバンドには、のちにディープ・パープルでハードロックというジャンルを開拓するジョン・ロードが加わっていた。
ディープ・パープルの彼しか知らない人には、彼のブルージーなオルガンプレイなんて想像できないに違いない。