篠田鉱造「幕末百話」(岩波文庫)から3度目の紹介をする。
またか~なんて言わないでくれ。
聞き書き(実話)なので、とにかく面白いのだ。
維新後、静岡の沼津城に兵学校が設けられた。
生徒たちは旗本や御家人などで幕府時代の陸軍士官や下士官といった武ばった面々。
校長が西周(にし・あまね・・・・教科書に載っている有名人。広辞苑にも記載がある)。
ところがこの生徒たち、門閥を背景に士官になったので、傑作な話が多い。
井伊大老暗殺から10年かそこらなのに、「井伊掃部頭(かもんのかみ)」を「いい・はらいべのかみ」と読んだ生徒がいたのはまだ序の口。
漢文なら任せてください、と云うので聴いたら「唐の安禄山は高い山で、富士山よりも高い」と言い出したので涙が出るほど笑いこけた。
ボクも腹を抱えて笑った。
あまりにも作り話めいているが実話だったようだ。
1年間の授業の後、使い物になったのは500人中100人だけだったらしい。
江戸時代にも別荘があって、「寮」と言っていた。
現在は墨田区になる向島から橋場、今戸が風流地形で、「当今で言えば鎌倉、逗子、葉山と云った風な別荘地」。
当時の有名なお大尽の寮で働いていた人の話。
「深川の平清(ひらせい)で、あわびがステキもない味で、御新造さまは、さすがに平清だねえ~と感心したところ、大御新造(母)さまが聞かれて、情けないことを言うね、あわびは水がよいのだよ。あわびは水か塩か、どっちでちぢらしたかを食べ分けるくらいでなくっちゃア、通(つう)とはいえない」とおっしゃいました。
むむむむむ・・久しくあわびなんて高級なものは食ってないぞ~!
許せん~!
と危うく本を放り投げるところだった(笑)
ということで楽しいヤツをいきましょう。
イカ天史上に輝くやどかり天国です。
ラストのオチをお見逃しなく。
テンプターズからオックスへの流れが最高です。