猫町・・・The Atlantics | 洋楽と脳の不思議ワールド

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マイナーな60年代ビートミュージック。駄洒落小話。写真と読書感想がメインのブログです。

 

 

 

汽車が着いたのは、石畳の続く中世風の古い町だった。

男たちは洒落たスーツで闊歩し、女たちは裾の長いドレスを引きづりながらしゃなりしゃなりと歩いていた。

ただよく見ると、男も女も靴を履いていないのだ。

2本足で歩いているが、どの顔も猫だった。

そう~猫町だったのだ。

 

宿屋も兼用している酒場に入り、遅い夕食とワインを注文した。

満席の酒場のどこかから、「人間の匂いがする」という声が上がった。

「なに~人間だと。俺たちの秘密がばれちまう。八つ裂きにしてしまえ」

恐怖を感じたボクは脱兎のごとく階段を駆け上がり、二階の窓をぶち破って外に出た。

うまい具合に馬の背に落ちたので、ジョン・ウェインのようにかっこよく逃げ出すことに成功した。

 

しばらく馬を走らせていると、呼び止められた。

ボクをこの街に呼びよせたシェリフの「ヒデヨシ」だ。

ヒデヨシは酒が大好きで、酒のためなら友情さえ平気で質入れするデブ猫だが、愛嬌があって憎めない性格なので、ボクとの友情は今でも続いている。

 

話を聞いたヒデヨシが説明するには、「5月の赤い雨」がこの街を狙っていて、住民たちは気が立っているのだという。

だから許してくれ。酒を1杯奢るからさ。

どうせその酒代はボクから借りるんだろうと思ったが、久しぶりなので厚意に甘えることにした。

 

ボクが呼ばれたのは「5月の赤い雨」と闘うための助っ人としてだというので、ヒデヨシの腕が鈍っていないか、確かめることにした。

 

俺様の腕を疑うなんて許せない奴だなア~と言いながら、目にもとまらぬ速さで銃を抜いて撃ち、また目にもとまらぬ速さでホルスターに戻した。

50m先に置いてあった標的のコーラ瓶にはかすり傷ひとつない。

「あれ?? 外したのかな・・・」とヒデヨシ。

「おいヒデヨシ。お前のホルスターには銃が入ってないぞ」とボク。

 

「そう言えば、酒代が払えなくて質屋に入れっぱなしだった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ヒデヨシも5月の赤い雨もますむらひろしの「ヨネザアド物語」のキャラクター。

 

ヒデヨシと並んでいるのがボクです。

 

 

 

 

Atlantics はオーストラリアで最も成功したバンドのひとつ。

サーフインストバンドとして61年から活動をはじめ、現在(ボクが観た記事は2008年のもの)まで活動中。

英国で生まれたビート・ミュージックがかの地にも押し寄せてきたので65年に路線を変更し、67年にはガレージクラッシックと言われる Come On を発表している。

サーフバンド時代の Bombora(63年)は大ヒットしたそうで、65年には来日公演もしたそうだ。

当時のレコード(コンパクト盤)の写真があったので貼っておく。