司馬遼太郎「ペルシャの幻術師」・・・Attractions - 5th February 196 | 洋楽と脳の不思議ワールド

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収録作品

「ペルシャの幻術師」
「戈壁(ごび・・ゴビ砂漠のこと)の匈奴」
「兜率天(とそつてん)の巡礼」
「下請け忍者」
「外法伝」
「牛黄加持」
「飛び加藤」
「果心居士の幻術」

文春文庫2001年刊。



司馬遼太郎の初期短編集。

「ペルシャの幻術師」は、昭和31年に第8回講談倶楽部賞を受賞した文壇デビュー作。

ボクのような子供の頃からの西域ファンなら、絶対に読みたい作品だ。



物語は13世紀半ば。モンゴルが本格的にペルシャ征服を始めた時代。

この方面軍総司令官フラグの子、若きボルトル王は、征服したメナムという街で、ナンという美しい娘に恋をする。

若き王は、彼女が自分を愛するようになるまで手ひとつ握らないと決意している。

必ず彼女のほうから求めてくると信じているからだ。

自信家なのだ。


街に異様な男が現れる。

彼は幻術使いで、メナムの街の旧勢力と契約し、王を殺すという。

ナンはそのことを知り、彼をつける。

異様な男の住まいで、彼女は幻術にかかり、花の精の男性と甘美な関係を結ぶ。

城へ戻った彼女の幻術が覚めることはなく、夜な夜な花の精の男性に抱かれる。

ずいぶんエロチックな話だが、具体的なエロい描写はないので当てが外れた~と嘆く読者は読まないほうがいい(笑)。

しかし幻想小説が好きな読者なら面白く読めるはずだ。



次編の「戈壁の匈奴」も西夏が舞台となるので、西域ファンには堪(こた)えられない。


「兜率天の巡礼」になると、ネストリウス派のキリスト教(景教)を奉じるユダヤ人の一派が渡来し、秦氏の一族だと称する幻想譚。のちの長編伝奇小説「風の武士」に通じる。


忍者ものに関しては言及しない。


果心居士の有名な牛を吞む幻術を初めて知ったのは、子供の頃に読んだ白戸三平の漫画だったが、飛び加藤こと加藤段蔵と果心居士については、21世紀になってから稲葉博一という新しい作家がそれぞれ「忍者列伝」「忍者列伝ノ続」で著していて、とても面白かったのでついでに宣伝しておく。

















今日の音楽はスウェーデンのバンドで Attractions - 5th February 1968。

モッドでサイケな素晴らしい演奏だ。

詳しいことは記事が見つからないので分からないが、68年に2枚のシングル(最初の1枚目は未発に終わったようだ。デモ盤のみ)を残していて、5th February 1968 は2枚目のB面曲。













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