「三国志」で一番人気がある人物と云えば、昔も今も諸葛孔明のはずだ。
しかし吉川「三国志」も、吉川「三国志」を忠実に漫画化した横山光輝「三国志」も、諸葛孔明を人知を超えた神格化された人物として描いており、人間諸葛孔明のことは分からない。
陳舜臣「諸葛孔明」は、虚像を取り去って、人間諸葛孔明を描いた小説だ。
膨大な資料と該博な知識を持つ陳さんだからこそ書けたのだと思う。
目から鱗だったのは、孔明の死に際しての「死せる孔明、生ける仲達を走らす」のくだりだ。
誰もが知ってる話は、死んだと思った孔明の車が蜀軍から現れて反撃の構えをとったので、孔明の智謀を恐れる司馬仲達が慌てて軍を返した、という吉川「三国志」の描写だと思う。
しかし陳さんによれば、魏国第一人者となった司馬仲達は、それ以上の成功は、魏王に疑われて身の破滅となるので、勝ちもしなければ負けもしない現状維持が身の安全を保つ最良の方策なので、孔明の車を見れば司馬仲達(彼のみは孔明の死を知っている)は戦うことなく必ず逃げるはず(つまりは芝居)、と自分の死後の撤退の方策を指示していたというのだが、4千年の昔から、権謀術数の宮廷政治が続いてきた中国人ならではの卓見で、さもありなんと思わせるのだった。
余談だが、卑弥呼が魏の国に使者を派したのは孔明の死の5年後のことだそうだ。
土井晩翠の「星落秋風五丈原」の印象的なリフレイン「丞相病あつかりき」が口をついて出たので、高校以来、この長編詩を読み直した。
読み直した結果、忠君愛国の士としての諸葛孔明が色濃く打ち出されていて、時代を感じたのだった。
正月3が日、穏やかな日和に恵まれたが、読書三昧で過ごしたのだった。
2日、あまりに天気が良かったので、稲村の海まで出かけ、富士山の写真を撮ってきた。
適度な波があり、サーファーが出ていた。
メジロも毎日来ている。
今日4日目、初詣に行ってきた。
生き返ってきてからというもの、大吉の神籤を引く回数が多くなった。
今年も大吉だ。
なのでお裾分け。
正月第1弾目の記事だから、品行方正なボクらしい映像で2018年の幕を開けるとしよう。
Cynics - Creepin' です。
真面目な映像過ぎてつまらなかったかな??(笑)