The Soul Of British R'n'B 1962-68・・・マイナー | 洋楽と脳の不思議ワールド

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モッズシーンとR&Bバンドとは切り離して考えているんだけど(理由は以前述べたことがるので繰り返さない)、ここでは面倒くさいのでモッズバンドのコンピ盤ということにしておきます。
86年に See For Miles から発売されたこのコンピ盤はデッカからリリースされたマイナーバンドのオンパレードで、スグレモノ。
Brian Hogg という人が解説を書いていて、ボクはモッズ関係は彼から教わったことが多い。
以前 The Snobbs というイロモノバンドをとりあげたことがあるが、あれも彼からの教わりもの。
CD化されていないので、取り上げるのはためらわれるが、同種のコンピ盤が現在は多数出まわっていて、そのなかに必ずここで取り上げられたバンドも収録されているはずなので、少しばかり解説しておく。CD購入の参考にして頂ければ幸いだ。
まず収録バンドと曲名を。

A面 1, Graham Gouldman/Stop! Stop! Stop!(Or Honey I'll Be Gone!)(66)
2, Alan Dean & His Problems/The Time Is Takes(64)
3, Pete Kelly's Solution/Midnight Confession(68)
4, Duffy's Nuecleus/Mary Open The Door(67)
5, Zoot Money's Big Roll Band/Get On The Right Track Baby(64)
6, The Graham Bond Organisation/Little Girl(64)
7, Ronie Jones/My Love(65)
8, Joe Cocker/Precious Words(64)
9, The Graham Bond Organisation/Strut Around(64)
10, Jimmy Powell/Sugar Baby-Part 1(62)
B面 1, The Exotics/Cross My Heart(64)
2, Pete Kelly's Solution/If Your Love Don't Swing(68)
3, Ronnie Jones and The Nightimers/I Need Your Loving(64)
4, The Powerhouse/Chin Gang(66)
5, Alexis Kornner's Blues Incorporated(Vocal R. Jones)/Night Time Is The Right Time(64)
6, Zoot Money's Big Roll Band/Walking The Dog(64)
7, The Powerhouse/Can You Hear Me(66)
8, The Quik/Love Is A Beautiful Thing(67)
9, The Exotics/Ooh-La-Lah(64)
10, Jimmy Powell/Sugar Baby-Part 2(62)

①は 10cc の一員として成功したので、知らない人の方が少ないと思うが、10ccに加わるまではマイナーなR&Bミュージシャン。ビートファンにはヤードバーズの For Your Love の作者と言った方が分かりやすいか。
自身のバンド The Mockingbirds でこの曲を吹きこみたかったらしんだけどデッカが拒否。
ヤードバーズが成功し、悔し涙を流したらしい。この曲はソロとなっての第1作で、自身の曲。可哀相に丸っきしダメだったらしい。
②は詳細不明。もう1枚 Pye からジョー・ミークのプロデュースで Thunder and Rain c/w As Time Goes By があるそうだ。
A③とB②は同一シングルのAB面。65年にヴォーカルのピート・ケリーを中心に結成された6人編成のバンドで、67年に Fontana からリリースされた Louie Louie が各種のコンピ盤に収録されている。
Midnight Confession はグラス・ルーツの曲。
個人的にこのコンピ盤で1番興味をそそられたのがA④。
ヴォーカリストでハーピストの Daffy Power のバンドだ。
なにしろ黒い。
この時代の英国には、黒いヴォーカリストが星の数ほどいるが、中でもクリス・ファーロウと並んで双璧だと思う。
60年代にアルバムを出すことができず、73年になってようやく Duffy Power と名づけられたアルバムをリリースできたんだけど、時代が様変わりしていたので、市場からは完全無視。
現在、このアルバムとシングルや未発表の曲を集めたCDが発売されているそうだ。
59年からプロ活動を始めたそうで、このバンド名義で66年と67年に1枚づつ計2枚のシングルがリリースされているが、メンバーがスゴすぎるのだ。ダフィ・パワーのほか、ギターがジョン・マクラフリン(マイルス・デイヴィスに見出されて「ビッチェズ・ブリュー」に参加したギタリストですぞ。現在ではジャズ界の大御所になっている)、66年のベースがダニー・トンプソン、67年(収録曲)がジャック・ブルースに代わり、ドラムは66年がテリー・コックス(ペンタングルの創立ドラマー)、67年がジンジャー・ベイカーに代わっている。
マクラフリン、ブルース、ベイカーとはもともとが顔なじみで、ビートルズをカバーした彼の最初のシングル I Saw Her Standing There/Farwell Baby(63,Parlophone) のバックも彼ら。もちろんグラハム・ボンドも参加している。
50年代末から60年代初めに活動をはじめた連中は、ジャズもブルースもR&Bもいっしょくたなので、アレクシス・コナーとも勿論深い関わりがあるし(73年のアルバムにはコナーも参加)、ほぼ同年代なので、隠れた大御所といっていいんだろう。
マクラフリンについて補足すると、67年にジョージ―・フェイムの2枚のシングル(EPをバラバラにして2枚のシングルでリリース、EP盤もリリース)に参加している。
Knock On Wood/Road Runner, Because I Love You/Bidi' My Time だ。
⑥⑨はそのグラハム・ボンド。
A⑤B⑥はモッズファンおなじみ。
いずれ個別に取り上げたいと思っている。
⑦はアレクシス・コナーズ・ブルース・インコーポレイテッド初期のヴォーカリスト。この曲はモータウンサウンドでソロ2作目。
ソウルフルなヴォーカルで、玄人には受けたがパットせず、B③でバックバンドを従えたりしたがやっぱり受けないまま消えていった。
B⑤で古巣に参加。この時のメンバーはロニー、グラハム・ボンド、ブルース、ベイカーとなっている。
⑧はご存知。はしょる。
⑩とB⑩はエキサイティングでパワフルなヴォーカルが売り。61年にプロ活動を始め、ロッキン・ベリーの前身バンドに加わってスター・クラブに出演している。
ロッキン・ベリーはアコースティックなサウンドで評判をとったので、不思議な組み合わせだ。
62年夏にバンドを去り、ソロデヴューしたのが Buster Brown のこの曲。
アレンジを変えたABカップリングでリリース。
彼の代表作となり、64年には Pye からも録音しなおされてリリースされている。
このパイ盤では、若きジミー・ペイジがギターを弾いているそうだ(聴いていない)。
60年代(62-69)を通じて11枚のシングルをリリースしたがアルバムは出ていないようだ。
彼の名前はロッド・スチュアート絡みで歴史に残るのかもしれない。
マーキー・クラブでモッズ相手に演奏していた時代(The Five Dimentions というバンドを従えていたが)、プロ活動を始めたばかりのロッドを2ndヴォーカリストとして採用したからだ。
が、残念なことにこの時期のレコードは1枚もないそうだ(ロッドは短期間在籍)。
ところでこの時期、64年にジャマイカ出身の女性歌手 Millie Small の My Boy Lollypop のバックに5ディメンションズが参加しており、そのハーモニカ演奏がロッドだとながいこと信じられていたのだけど(ブライアン・ホッグもそう書いている。ボクも以前そう書いた記憶がある)、それは誤りのようです。
B①⑨はジャマイカ出身のバンドという以外分かりません。
B④⑦はマンチェスターのソウルバンド。ロンドンへでてきてモッズの間で人気が出たらしいが、一般受けはしなかったようだ。
B⑧は詳細不明のソウルフルなバンド。