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日本の医師数を増やすべきなのか?
この点の関しては、医師の間でも意見が分かれています。
繰り返しますが、現在、日本の医師数はOECDの平均に達するまで政府の出している数字を信じたとしても約12万人足りません。
ところが、国は「医師は足りている。偏在しているだけだ。」と主張しています。
以下は、Yosyan先生がされている「新小児科医のつぶやき」を参考にさせていただきましたが、厚生労働省の見解はこうです。
1. 平成47年でようやく現在のOECD平均に達する程度の医師数しかいないのに「医師は足りている」。
2. 小児科、産婦人科、麻酔科は不足しておらず新規供給も十分。
3. ほぼ現在の医師数でも週48時間労働になる。
ようやく最近になって、日本政府の医師は余っているというトーンは低くなっていますが、現在も医師数増加には極めて消極的です。
厚生労働省はそれこそ何十年にもわたり、「医師は余っている。医師を増やせば、医療費の増大につながるので増やすべきではない」と主張してきました。
したがって、厚生労働省の長年にわたる失策の結果、日本は医師が非常に少ない国になってしまったといえるでしょう。
これに関しては、医師の間でも基本的な事実として受け入れられていると思われます。
そこでですが、
今後、医師数を大幅に増やすべきなのでしょうか?
という重要な問いかけがでてきます。
これに対しては、医師の間でも意見が分かれています。
私のように、
1、「早急に医学部の定員を大幅に増員し、医師数を適正化すべきだ」
という意見と、反対に
2-A、「将来的に日本の人口は減っていくことは間違いないので、医師数を増やしてしまうと、過剰になってしまうから医師数は増やすべきではない。」
あるいは、
2-B、「医師数を増やせば、それだけ社会における一人分の医師の価値が下がるので、増やすべきではない」
という意見があると思います。
まず、後者の2-Aの意見ですが、、、、
政府の少子化政策が長年にわたり全く効果的でないことは皆さんもご存知のとおりです。
国立社会保障人口問題研究所の平成18年12月の推計によると、2050年に日本の人口は8997万人から10195万人の間になるだとうと推計されています。
http://www.ipss.go.jp/index.html
最も少ない推計にしたがって人口が推移した場合、現在のOECD加盟国の人口あたりの医師数平均 1000人あたり3.0人になるためには、
89970000x3/1000=約27万人ということになります。
人口が最大で推移した場合であれば、
101950000X3/1000=約31万人ということになります。
国によると現在の日本の医師数が約24万人ということですから、3-7万人足りません。
国は毎年3000-4000人の医師が増えていると主張していますから、約8-18年で3-7万人の医師を増やすことができることとなります。
OECDの人口あたり医師数の加盟国平均は毎年上昇していることも考え合わせないといけませんが、10-15年後のことを考えれば、毎年4000人増えているという数字が正しいなら、日本の医師増加数はそう悪い数字ではないように思われます。
という根拠からすると、驚くべきことに2-Aの意見は間違っていないように思われます。
2-B、「医師数を増やせば、それだけ社会における一人分の医師の価値が下がるので、増やすべきではない」
確かに医師を増やしすぎて、医師の報酬が低くなり、まともな生活ができないような状況は困ります。要はバランスの問題ですね。
しかしながら、問題は、医師数が極めて少ない状況がつづく、これから約10年間をどうするのかということです。
いまから、医師を増やしても戦力になるのに約10年かかります。
どうやら、この10年間をどうするのかということが問題の本質だということと思われます。
こんなことは小賢しい中央官僚がわかっていないはずがありません。
これに関して ある産婦人科のひとりごとで私がコメントをしたときに、とても興味深いご意見をya98様からいただいたことがあります。
http://tyama7.blog.ocn.ne.jp/obgyn/2007/10/post_460d.html#comments
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医療外からの視点からみれば。1980年くらいの時点で、大戦争や大災害でもない限り、団塊の世代が2010年以降高齢化し、膨大な医療需要が発生することは誰にもわかっていたわけです。今になって医療の高度化などを言い訳にしていますが、1980年時点ですでに今日の状況は意図的に誘導されたと考えるべきです。
これは1980年時点で医療費の増大が問題とされたというよりも、年金や税構造の変革がこの急激な高齢化に間に合わない場合に意図的に医療を破壊し、急激な高齢者の増加を医療の破綻でなんとかするという計画にほかなりません。対象となる世代は有権者で政治行動を起こすことも可能なのですが、この計画の優れている点は、少なくとも1990年代後半までにこの計画が対象者にわからなければ、医師の養成は間に合わず、医療はどうやっても破綻することです。これから医学部定員を増員したとしても、効果が出てくるのは2020年頃になるでしょう。計画は成功というわけです。
むろん、出生率の上昇があればこの計画も中で変更できたのですが、むしろ出生率は悲観的な予想をさらに下回るということになりました。よってこの計画が発動されることになったようです。最近になって、年金制度の見直しが社保庁への煽りともに出てきているのは、偶然ではないのです。
これにダブルムーン 氏の指摘する米国の意向が重なっています。優秀な医師がいくらがんばって、膨大な医療需要に応えようとも応えきれない状況を作り、その努力にまったくそれに見合わない医療費をあてるということです。
すでに混合診療導入、医療の「自由化」は既定路線ですが、問題は医療弱者となる層に、この極めてきついお仕置きを「誰が」望んでこのような状況を作ったのかという「責任」の押し付け合いをしている状況です。米国のためとか、政府のためとかでは困るのです。「医者が生きられないから金儲けのために混合診療を導入した。」という図式を作りたい。そのための医療政策と考えると最近の迷走ぶりはわかりやすいです。
日本の人口構造は2030年頃から次第に正常化に向かうと思われます。その時点で医療を立て直すとしたのでしょう。それまで、いまがんばっている医療者はほとんどが肥やしとなる運命かもしれません。
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要するに人口が最も増える団塊の世代が高齢者になる今後10年間をなんとか少ない医師数で乗り切るという政策を国が計画的に実行した。
このために、医療崩壊を意図的に導き、団塊の世代は切り捨てる ということですね。
国が後期高齢者医療保険などで団塊の世代を切り捨てていることなどを考えると非常に説得力のある意見です。
国に計画的に 「してやられた」ということでしょうか?