滅びつつあるローマ帝国 アメリカ | 天夜叉日記

天夜叉日記

ひとりの医師として、そして父として、最愛の我がこどもたちのため、日本が、そして医療が荒廃していく記録を残しておこうと思う。

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現在、アメリカ政府が金利を5年間凍結して、なんとかサブプライムローンの問題を先送りしようとしています。

この問題の経緯を簡単に説明すると、まず何百万人という低所得者層にうまいこといって高金利のローンを組ませた。その後、金融工学とかなんとかいって、その債券を他の金融機関に売った。ちなみに、この債券を購入した米国外の銀行は主として日本、中国、英国である。

ところが、このローンは固定の低金利期間が数年で終了し、変動金利に転換、返済金利が急上昇する仕組みであること、そして住宅バブルが崩壊した結果、借り手が金利を返せず、自己破産するようになった。当然、この債券を買った金融機関は大損害をこうむるということですね。

さらに悪いことには、債券を買った銀行がローンの借り手の家を差し押さえようとしたが、家のローンの契約は借り手と最初にローンを組んだ金融機関の間でしか存在しないため、債券だけを買った銀行はさらに大損するということになったということです。

だいたい、銀行が低所得者層に対して高利貸しをするということにまず嫌悪感を覚えます。さらにその債券を金融機関の間で売買することは、銀行の社会貢献という観点からみて倫理的に許されることなのでしょうか?

上述のようにアメリカでは経済を牽引してきた住宅バブルがはじけています。最近では、製造業はほとんどアメリカ国内で機能していません。庶民の貯蓄率も平均がマイナス(すなわち借金が貯蓄を上回っている)なのはよく知られている事実です。莫大な財政赤字を抱え、売れるものは軍事力だけという状態です。そして世界通貨としての地位を利用してドルをすりまくっている。だからドル安が進んでいるのでしょう。

金利を5年間固定して、問題を先送りしても、金融機関の社会における役割と倫理を再考し、そして米国人自身も借金に依存したライフスタイルを正さないかぎり、本質的な問題の解決は難しいのではないでしょうか。

現代のローマ帝国は滅びるのでしょうか?

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サブプライム救済策、金利5年凍結 米政権発表へ
12月6日9時28分配信 産経新聞

 【ワシントン=渡辺浩生】低所得者向け高金利型住宅ローン(サブプライムローン)の大量焦げ付き問題をめぐり、ブッシュ政権は6日午後(日本時間7日未明)に、返済金利の一時凍結など借り手の救済措置を公表する。金利上昇で返済不能に陥り、住宅の差し押さえが急増する事態を食い止めるためで、米メディアの報道によると、凍結期間は5年程度とすることで金融界と合意した。
 サブプライムローンは、固定の低金利期間が数年で終了後、変動金利に転換し、返済金利が急上昇する仕組みが大半。住宅価格の下落で、金利上昇前によい条件のローンに借り換えることが不可能となり、延滞が続き持ち家が差し押さえとなる件数が急増。今後、同じ危機に直面する借り手は約200万人と推計されている。
 政府が金融界と合意した救済策は、一定の条件を満たした借り手に対して、金利引き上げ前に5年程度返済金利を据え置くほか、支払い可能な固定金利のローンに借り換えできるよう促進する案が軸とみられる。
 住宅差し押さえ拡大は、住宅価格を押し下げ、消費落ち込みなど通じて米経済に大打撃を与える懸念があり、ポールソン財務長官や財務省幹部がシティグループ、カントリーワイド・フィナンシャルなど米大手金融グループと救済策について協議を重ねてきた。
 民主党の有力大統領候補のヒラリー・クリントン上院議員も3日、ポールソン長官へ書簡を送り、最低5年間の金利凍結を要請している。