すごく久しぶりなブログとなりますが問い合わせが多いショートスタビリンクについて書いていこうと思います。
最近よく売れているショートスタビリンク。
付けてもらえば分かりますがスタビライザーの効きが早くなり、そして強く効くようになります。
ロールが抑えられる事によりステアリングの応答性も良くなりおススメの商品です。
他車種(四駆車以外)からジムニーに乗り換えた方はジムニー特有と言ってもいいぐらいのロールや揺れが気になるかと思いますので特におススメします。
ノーマルのリンクに比べ短くすることでスタビの効果を高めているのですが、短くすることで何故効くようになるのか?疑問に思う方も多いと思います。
そこでショートスタビリンクがどのような理屈で効果があるのか解説したいと思います。
まずはスタビライザーの役目から
スタビライザーは別名アンチロールバーとも呼ばれ、アンチロールつまりコーナーリング時に発生する車のロールを抑えます。ロールしようとした時に、スタビライザーを捻る力が発生し、その力がロール軽減に効果を発揮します。具体的に説明しますとコーナーリングではコーナー外側は足回りが縮もうとし、内側は伸びようとして車体が傾きます。そこで左右繋がっているスタビライザーが外側の縮もうしている足回りの力を反対側の内側の足回りを伸びないようにする方向に作用しロールを抑えます。
スタビライザーリンク(スタビリンク)の役目について
車体に付いたスタビライザーとアームやストラットなど、ジムニーの場合はホーシングとの間に入り、上下動時に発生するスタビライザーとホーシングの位置関係のズレを吸収しながら力の伝達を行います。
その力の伝達でスタビライザーのリンク角度が問題となってきます。
スタビライザーとスタビリンクは直角の90°であることが力の伝達では理想です。
角度が90°の場合100%の力がスタビライザーを押す力となりますが、角度がつくことでスタビリンクを押す力がスタビライザーを押す力とスタビライザーを横方向に押す力と画像の青矢印のように分散します。数値的には70°の傾きで仮に1の力で押した場合、スタビを押す方向はsin70°=0.939で6.1%減ります。横方向の力はcos70°=0.342となりますので押した力に対して34.2%の力が横方向に分散されてしまいます。
多少の傾きはブッシュ等で吸収できますがあまりに角度がつくと分散された横方向の力によって変なツッパリ感が発生してしまい乗り心地の悪化に繋がります。
ここからはジムニーでの話になります。
ジムニーで説明するにあたり、付いているスタビリンクの角度が見た目では90°にはなっていませんがスタビの動き、ホーシングの動きがお互いに円弧の動きをするため、単なる見た目の角度では判断ができず、力の掛かり方考える必要があります。説明するにあたり実車の寸法が必要となりますが今ある機材では正確な数値をミリ単位で計測するのが難しく採寸ができません。
そこで分かり易く説明できるように簡素にしました。実際の動きと正確さに欠ける所がありますがご了承ください。理屈的には合っていますのでよろしくお願いします。
まず初めに最適なスタビリンクの角度についてですが実車寸法から最適な数値をと考えて採寸しようとした結果先に書いたように今ある機材では正確な数値を計測するのが難しく諦め、実際に乗って確かめ、純正車高のリンク角度が一番良いかと思われます。
この角度です。ノーマルの画像が無かったのでショートスタビでの画像です。
車高を上げた場合、ノーマル車高の時の純正のリンク角度になるようにスタビダウンブロックなどで調整するのが基本になります。これはノーマルスタビリンク、ショートスタビリンクどちらにも言える事です。
この位置がとても重要で、この位置から一定の車体の傾きまでスタビが効いていない領域になります。このスタビが効いていない状態を作る事で細かな路面の凹凸を素直に足回りで吸収することになり、乗り心地の良さに繋がります。足回りが一定範囲を超えてストロークの左右差が発生することでスタビが効く始めるようになります。
リフトアップしましたらこの画像の角度になるようにスタビダウンブロックなどで調整してください。
それではショートスタビリンクについて解説していきます。
ノーマルとショートスタビの位置関係についての図です。
ホーシング側を支点にスタビ側が動くと想定します。
足回りがストロークした場合のリンクの動きです。
真ん中の線までリンクが傾くとスタビが効き始めますがまだ効く手前の角度です。
次にショートスタビリンクの場合です。
足回りのストロークに対してスタビリンクの移動量(図で言う赤矢印)が比例します。スタビリンクの角度では無く移動量であることがポイントです。
ノーマルスタビの時の移動量をそのままショートスタビに当てはめますと
スタビが効き始める角度を超え、スタビが効き始めています。つまりノーマルに比べ同じ足回りのストローク量に対して早く効き始める事になります。
次にショートスタビが最大に効く角度まで足回りがストロークした場合です。
この移動量をノーマルに当てはめた場合です。
ノーマルの場合はまだ効き始めた所です。
つまりノーマルに比べ効きも強くなります。
分かり易くなるようなリンク比にしたのでだいぶ極端な差となってしまいましたが実際にはここまでの差はでません。あくまでも分かり易くする為なのでご理解ください。また実車の動きは複雑な動きになりリフトアップ量によっても変わってきますのでご注意ください。
このような理屈によりショートスタビリンクに交換する事で効き始めが早くなり、効きも強くなります。
効果のあるショートスタビリンクですが、いい所があれば悪い所が出てくるのがチューニングです。
ショートスタビに換える事によるデメリットとしては
・スタビが効くようにしている商品ですので大きく足回りを動かすクロカン走行の場合は足の動きを規制しますので車体が傾く、足回りがすぐに浮いてしまったりと不向きです。
・可動領域を減らして効果を増やしている物になりますのでリフトアップ量に対してリンクの角度がノーマルに比べつきやすくスタビダウンスペーサーでの角度調整が必須になります。それから足回りが伸び切った時にリンクが反転してしまわない事と、ハンドルを切った時に干渉しない事の確認が必要ですが下記のように組み合わせて頂ければ反転、干渉の問題はありません。
20〜40mmアップはそのままの取り付け
2インチアップは10mmのスタビダウンスペーサーと併用
3インチアップは25mmのスタビダウンスペーサーと併用
ノーマルアームより長いリーディングアームを使用の場合は
2インチアップで+6mmロングのアームはそのまま取り付け
3インチアップで+10mmロングのアームは10mmのスタビダウンスペーサーと併用
上記のように調整して取り付けしてください。
・リフトアップ量に対して極端に長いショックアブソーバーには対応できないです。
あげるとこんな感じになります。
リンクの角度を細かく調整が必要で5mm単位でスペーサーを出そうかと当初は考えていましたが選択の幅が増えてしまいどれを選んでいいのか悩んでしまうと思いやめました。
ですがこのブログを書いていてやはりあった方がいいと改めて思ったので5mm単位で調整できるように再度考えたいと思います。
とここまでが解説となります。間違ってはないとは思いますがジムニーのスタビの動きについては未解明な部分もあります。気になる点、おかしな点があれば指摘してください。