立田山泰勝寺の河津桜を見るときは、セットで熊本大学黒髪キャンパス裏の道に入るところに木瓜の花が咲いているのを見るのが常だ。
その場所を車で通り過ぎるときに「あ、咲いている」と眺めた。
泰勝寺からは、天水温泉のある草枕の道・漱石記念館に移動しようとしている。
例年であれば、この日と逆コースで、坪井川を渡り、河内から天水へとやって来る。なぜかというと、啓翁桜を見るため・・・。
漱石記念館の石垣の畑に啓翁桜が植樹されていて、
「桜はもう咲いたかな?」
と待ちきれない気持ちになって、二度、三度と足を運んでいた。
河津桜に負けず劣らず、啓翁桜がいち早く咲くからである。というか、今では、泰勝寺の河津桜と漱石記念館の啓翁桜とは同じ時季に咲くとようやくわかった。
であるから、泰勝寺の河津桜を見たついでに、次は漱石記念館の啓翁桜を見に来た。
啓翁桜の花びらは小さい。
花びらの色は白に近い、薄桃色。
この日のように曇り空の下で見る啓翁桜は華やかさに欠けるというか、どちらといえば寂しげである。(続く)