「山のあなた」
作者:カール・ブッセ
訳:上田敏(翻訳詩集:海潮音より)

 

 

山のあなたの空遠く
「幸(さいは)ひ」住むと人のいふ。
噫(ああ)、われひとと尋(と)めゆきて、
涙さしぐみ、かへりきぬ。
山のあなたになほ遠く
「幸(さいわ)ひ」住むと人のいふ。

 

 

現代語訳
山のむこう、ずっと遠い空のかなたまで行けば
幸福があるのだと、誰かが言っていた
ああ、私も人といっしょに探しに行ったけれど
見つからず涙ぐんで帰ってきた
それでも、山のもっとむこう、ずっと遠い空のかなたまで行けば
幸福があるのだと、人は言う。


※あなた=彼方(かなた)、向こう
※尋(と)めゆく=探しに行く
※さしぐむ=涙ぐむ

 

 

「いま」「ここ」には、自分の求めるものや、自分の居場所がないという強い現実否定があります。
そのため、その現実から逃れようとして、自分の居場所を求めてさまようのです。
この詩の主人公は、「幸い」に憧(あこが)れてそれを探しに行きました。信じる心には、
世界を広く輝かせて見せる力があります。信じる心にこそ、本当の幸せがあるのではないでしょうか。

 

 

以上はすべてネット上から引用させて頂いております。

がねさんが思い浮かべたのは、歌奴時代の山のあなの落語。のCMだったか。

永谷園?