世界初の脳移植を施され、一命を取り留めた青年、成瀬純一。恋人とのささやかな日常を取り戻した彼に異変が訪れる。狂暴化する性格、変わりゆく才能。変化を止められない純一は、提供者(ドナー)の影響を疑う。画期的な手術に隠された真実とは。他人の脳に支配されたとき、彼女を愛する心も消えてしまうのだろうか。

東野圭吾 ひ17 9 変身 講談社文庫

 


 

前作の『宿命』において電脳という言葉がキーワードになって物語が展開した。

前に読んだ『ラプラスの魔女』シリーズは、脳移植により超人的な能力を身につけた女性の活躍を描いている。

この『変身』はストレートに脳移植を受けた青年を描いている。

 

 

こうして東野圭吾初期の作品を続けて読んでいくと、いささか気が重い。渋々といった感じで読み進めていくうちに、性格の変化に苦しむ成瀬の姿を目の当たりにし、いつしか物語に吸い込まれてしまう。