遅まきながら東野圭吾のデビュー作『放課後』を読んだ。
女学校内の事件。
教師たち、女生徒たちの生々しい描写が新鮮である。
ミステリーとしてのトリックも鮮やかにして秀逸。
『放課後』に衝撃を受けたので、これはデビュー作から順番に後追いしながら東野圭吾を読み進めるのかな。
なんとなくそのような気配が漂って来ての第二弾『卒業』。
裏表紙
卒業を控えた大学四年の秋、一人の女子大生が死んだ。親友・相原沙都子は仲間とともに残された日記帳から真相を探っていく。鍵のかかった下宿先での死は自殺か、他殺か。彼女が抱えていた誰にも打ち明けられない秘密とは何だったのか。そして、第二の事件が起こる。刑事になる前の加賀恭一郎、初登場作。
はぁ、加賀恭一郎シリーズがあるのか。文庫本の帯に記されているのは、
第1の事件青春『卒業』
第2の事件恋心『眠りの森』
第3の事件過去『悪意』
第4の事件友情『どちらかが彼女を殺した』
第5の事件感情『私が彼を殺した』
第6の事件捜査『嘘をもうひとつだけ』
第7の事件家族『赤い指』
第8の事件人情『新参者』
第9の事件未来『麒麟の翼』
第10の事件母性『祈りの幕が下りる時』
全部文庫で読める!加賀シリーズ。
「真実を知る意味があるのかどうか。それでも」
おお、『卒業』は加賀シリーズ第一弾。
この後もシリーズを読み通すことになるかどうかは、この本を読んだ後、その鍵を握っていることになる。
ま、しかし、おそらくは読むのだろうな。
前置きが長くなった。
ページを開くと「卒業」のタイトルに添えて――雪月花殺人ゲームと記してある。
「君が好きだ。結婚してほしいと思っている」
うわ~、なんという始まり。
シリーズの主人公がこれほどあからさまな形で登場する小説があるだろうか。
そしてその相手が沙都子(さとこ)。
タイトルが「卒業」。
この瞬間、「加賀シリーズを読む・読み続ける」に決定。
学生アパートの事件をめぐる真相究明が暗礁に乗り上げる頃、茶道の雪月花において第二に事件。
謎は深まるばかり、謎は解けるのか。
ミステリーというのは興味を引きつけて囚われた者を離さないのであるが、青春群像劇が愛おしく切なく胸に迫る。