夏休みになると、水遊びに来ていたのが、大鞘川(おざやがわ)。
まだ泳ぐことができない小学生の頃、近所の子どもたちが連れ立って川に行く。
その途中に小さくてかたい桃の生る木があって、どこの誰の木であるかを気にすることなく、ちぎって食べていた。
無論のこと、そのことを咎めて怒る人などいない。
泳げない小学生たちは河原の背の立つところでバチャバチャしているだけのことであるが、泳げる中高生などは大鞘川の対岸に泳いで渡る。その対岸の先には西瓜の畑があって、畑の西瓜を黙って持ち出すことがあった。西瓜は価値あるものにして、さすがにこれはやってはいけないことだと認識していた。他人様の物を盗むのは犯罪行為である。
その時代、夏休み中に水死する生徒がいた。追悼会(ついとうえ)というのが小学校で行われていたくらいなのだ。近所の同級生イシダくんが小学4年生のとき、知らぬ間に亡くなったと聞いた。
ま、なんにしろそのようなことがこの川を舞台にして繰り広げられていたのである。
楽しかったこと、悲しかったこと、いろいろのことを思い出す。(続く)