昨年、池波正太郎の『鬼平犯科帳』『藤枝梅安』『剣客商売』『真田太平記』を読んだ。その前後の小説も拾い読みした。池波正太郎を読んでいる間に東野圭吾『ガリレオ』シリーズも読んだ。

 

その後、東野圭吾の文庫本を、間隔を空けて読んでいる。『秘密』を読んだ後、少し続けて東野圭吾を読み進めるかという気になった。それで『夢幻花』を手にしている。

 

これは余談だけど、池波正太郎を読んだことによって我が家の実生活にもたらされたことがある。それはなにかというと、朝食メニューで、剣客商売に倣って粥を朝食にしている。そしてそれが健康維持にすこぶる役に立っている。あ、これはまさしく余談であった。

 

 

ここで東野圭吾『夢幻花』の裏表紙

花を愛でながら余生を送っていた老人・秋山周治が殺された。第一発見者の孫娘・梨乃は、祖父の庭から消えた黄色い花の鉢植えが気になり、ブログにアップするとともに、この花が縁で知り合った大学院生・蒼太と真相解明に乗り出す。一方、西荻窪署の刑事・早瀬も、別の思いを胸に事件を追っていた・・・・・・。宿命を背負った者たちの人間ドラマが展開していく“東野ミステリの真骨頂”。第二十六回柴田錬三郎賞受賞作。

 

 

冒頭にプロローグ1とプロローグ2が示された後、黄色い花の謎を突き止めようと、梨乃と蒼太とが動きだすのであるが、それが事件とどのような関りがあるか。

 

紹介されて訪れたアサガオ研究家の歯科医から夢幻花について知らされる。それからあちこちに散らばっていたピースが嵌まり始める。そうしてやがて事件の全貌が明らかに・・・。

 

複雑にして緻密な構成。なにがどうなっているのか、予測だにできないままオシマイに向かう。

 

文庫本に挟まれている栞。栞に記されているのは、PHP文芸文庫

「人間を味わう 人生を考える」。

 

ああ、東野圭吾を読むのはまさしく栞のとおりではないか。