前藩主の子を産んで里に帰される下女のため、醜聞を売って金を作る。一季奉公の男の想いが衝撃の結末を呼ぶ表題作ほか、旗本の妻が親類七家に次々と頼みごとをする理由(「つぎつぎ小袖)、武家の次男坊を振った女が本当に惚れていたのは、祖父だった(「台」)など、リアルな人間を鮮やかに描く傑作短編集。
文庫本 目次
『つぎつぎ小袖』
ほっこりと心が温まる話。武家の嫁の夫を恋する気持ちと行動。そして娘を愛おしむ気持ちと行動。江戸時代の武家のつつましい暮らし向きと世間づきあいを背景にして語られる。しみじみとしてさわやかな女性。
『町になかったもの』
月に六回市が立つ六斎市を源にしている町。“町にないものはない”くらい出世した町。町と共に育った紙問屋・晋平。その晋平が、町年寄・成瀬から御番所への訴えに誘われ出かけた江戸にて出会ったもの。それは書肆(しょし)=本を出版したり売ったりする店の別名。町に戻った晋平が開いたのが書肆。これで町にないものはない。
『剣士』
『いたずら書き』
『江戸染まぬ』
あっ、これは前に記事をアップした『底惚れ』の下になった短編ということになる。
『日和山』
『台』
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文庫あとがき。