前に3冊一遍に再読し始めたとブログにアップした。その3冊は、安部龍太郎『冬を待つ城』、宮本輝『地の星』、三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』。

 

読み始めた順番は書き並べた順番だったけど、まず読み終わったのは三浦しをん『まほろ駅前多田便利軒』。

 

 

前の2つが相当先行していたのだけど、遅れて『まほろ・・・』を読み始めると、もう止まらなくなってしまったのだ。実によくできた小説である。何度読んでも魅入られてしまう。

 

 

ストーリーはほぼ鮮明に覚えている。というか、映画のシーンが同時に思い浮かんでしまう。映画を複数回視聴しているし、本も2、3回読んでいる。ただそれがずいぶん前のことなので、とっかかりですこしまごついたけど、後はもう鮮明に思い浮かべる。

 

 

そうすると、三浦しをんの文章をより深く味わうことになる。文章がハードボイルド小説のようであり、多田と行天との会話が軽妙であり、モデルになっている町田駅周辺の描写がリアルであり、荒唐無稽な物語の展開が何度読んでも面白い。

エンターテイメントの要素が満載。

なんかおしゃれで都会的でセンスがいいよなぁと思う。

登場人物は不幸を背負った人たちばかり・・・。

 

 

あ、そうそうこの映画が封切られるとき、東北大震災が起きた。それで世は自粛モードに染まったため、世の耳目を集めることなく、映画は不発弾のように息をひそめてしまったのだという。小説は直木賞を受賞したので世の耳目を集めたであろうが、映画は見向きもされない不幸な成り行きだった。好い映画だと思うけど・・・。