窪美澄の直木賞受賞作『夜に星を放つ』。

 

窪美澄の本を数冊読んでいる間、直木賞受賞作も読みたいと思っていて、蔦屋書店で探してみたけれど、なかった。それで諦めていたところ、昨年、自宅の本の断捨離のため、捨てる本をクロス宇土内ブック・オフに持ち込んだときのこと。カウンターに持ち込んだ本を乗せて買取の依頼をすると、査定までしばらく時間があるので、その間、本棚を眺める。すると、目立つ場所に『夜に星を放つ』があった。

 

ああ、これは何かの縁だ。そして僥倖というべき。そう思い購入した。

 

ところが、売却するために持ち込んだ紙袋の底に『夜に星を放つ』を置いたまま、年が明けた。正月の半分が過ぎたところで、ようやくその本を紙袋の中から引っ張り出した。

 

 

目次

『真夜中のアボカド』

『銀紙色のアンタレス』

『真珠星スプカ』

『湿りの海』

『星の随(まにま)に』

 

 

『真夜中のアボカド』は、32才女性、会社員。ああ、これは直木賞だなと思う。う~ん、もうなんというか、好いなぁ。

『銀紙色のアンタレス』は高校生男子。これも好い。どこにでも転がっていそうな普通の人の人生の一こまだけど、とても愛しくと思える。

『真珠星スプカ』は小学生女児。交通事故で母親を亡くし、父親と2人暮らし。

『湿りの海』は離婚した一人暮らしの男性。

『星の随(まにま)に』は小学4年生男子。離婚した父親と新しい母親と暮らす。

 

それぞれの物語の主人公の年代、性別が異なる。それぞれの生き様をしみじみと味わった。