デザイン会社に勤める由人は、失恋と激務でうつ病を発症した。社長の野乃花は、潰れ行く会社とともに人生を終わらせる決意をした。死を選ぶ前にと、湾に迷い込んだクジラを見に南の半島に向かった二人は、道中、女子高生の正子を拾う。母との関係で心を壊した彼女もまた、生きることを止めようとしていた――。苛烈な生と、その果ての希望を鮮やかに描き出す長編。山田風太郎賞受賞作。
Ⅰソラナックルスボックス
Ⅱ.表現型の可塑性
Ⅲ.ソーダアイスの夏休み
Ⅳ.迷いクジラのいる夕景
Ⅰ~Ⅳの小編がそれぞれに苛酷な生い立ちを持つ人物を描く。
3人のそれぞれがちょっと半端ないような苛酷な生活環境に生れ育った。
その場所から運よく逃げ出すことができたけれど、その先にあるのはやはり苛酷な運命。
死ぬほかに途はないのか。
そんな切羽詰まった3人が偶然につながり絡み合うのが最終章、迷いクジラのいる風景。
晴天の迷いクジラ。

