澪が大坂に戻ったのち、文政五年(1822年)春から翌年初午にかけての物語。店主・種市とつる家の面々を廻る、表題作「花だより」。澪のかつての想いびと、御膳奉行の小野寺数馬と一風変わった妻・乙緒との暮らしを綴った「涼風あり」。あさひ太夫の名を捨て、生家の再建を果たしてのちの野江を描いた「秋燕」。澪と源斉夫婦が危機を乗り越えて絆を深めていく「月の船を漕ぐ」。シリーズ完結から四年、登場人物たちのその後の奮闘と幸せとを料理がつなぐ特別巻、満を持して登場です!
それぞれの物語が、温かいまなざしで綴られており、興味深く読ませてもらった。
起承転結の結は、振出しに戻ったかのような爽やかにして鮮やかな幕切れである。
澪と関わりのある人たちの悲喜こもごもの人生が描かれる。
読後感がすこぶるよろしい。
これにて『みおつくし料理帖』読了。

