裏表紙

斬り捨て御免の権限を持つ幕府の火付盗賊改方の長官・長谷川平蔵。盗賊からは“鬼の平蔵”“鬼平”と恐れられている。しかし、その素顔は義理も人情もユーモアも心得た、懐の深い人間である。新感覚の時代小説の世界を拓き、不動の人気を誇る「鬼平犯科帳」シリーズ第一巻は、同心・小野十蔵の物語から始まる。解説・植草甚一知らぬ人とてない「鬼平犯科帳」。そのシリーズ第一巻。解説・植草甚一

 

 

圧倒的な描写力。

深い人間洞察力。

個性あふれる人物像。

名人芸。

ただひたすらに面白く、物語に引き込まれる。

なにをかまた語らん。

 

『啞の十蔵』を読んだだけで、以上の感想。

次に『本所・桜屋敷』を読めば、いきなり平蔵の生い立ちが・・・。

いや~、もう、たまらんなぁ。

こりゃあいけねえなぁ。

感服するほかなし。

 

・・・・・・

 

それにしても読み始める前は、あまり期待してなかった。なぜなら中村吉右衛門のTVドラマをときどきは見て来たし、どのような内容であるかを知っているから。だけど、それはそれとしても、まぁ、職人のような、名人芸。悪党どもの際立つ個性、江戸の風情、密偵、同心、そしてやっぱり長谷川平蔵の人となりが何にもまして清々しい。

 

文庫本の解説が植草甚一。ああ、若い頃、なにやかやで、あちこちでよく目にした名前だ。確か、ジャズ評論家ではなかったか。自宅の書庫を探せば、おそらく1冊くらいは植草甚一の著書があるはず。ジャズと映画と鬼平。好きなものばかりなのだ。

 

鬼平犯科帳(1)~(24)あるようだけど、あと、2、3冊は読んでみようかな。