7/8(金)八ヶ岳の3日目。
赤岳を下りた行者小屋から美濃戸山荘までは、すっかり気が緩んでいる。
「行者山荘はよかったね」
「エッ、ギョーザ、おいしかった?なんて言われるかもね。」
「ああ、それはありうるかも。」
途中に赤岳神社。
「赤酒神社?」
「んなわけないだろ」
軽口をたたきながら川沿いの道を下る。
ちなみに赤酒というのは、熊本に昔からあり、正月用屠蘇に用いられる甘い酒である。
行者小屋から美濃戸山荘までは枯れ沢に沿った谷道をたどる。ときには沢を渡ることもある。
シラビソの樹下はどこまでも苔むすグリーンベルト。
童話の世界のような清浄な雰囲気。
木漏れ日が地上に届くと光と影の陰影を成す。
何度も立ち止まりつつ、その度ごとに息をのむ。
八ヶ岳に広がる裾野を下るのであるから息が上がるようなことはないが、どこまで続くのかという厭世観に似たような気分ではある。そうはいっても残り数時間で八ヶ岳を後にすることになるにで、同時に名残惜しいという気持ちもある。
そうこうしているうちに美濃戸山荘に到着したが、トイレの用がなければすぐに出発。美濃戸口に早く着いて、その分、入浴や食事の時間をたっぷりとりたいというのが山岳ガイドさんの考えである。(続く)