今日は日曜日。大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の放送がある。TVでは北条義時の物語が始まったばかりだが、このところ北条義時に関連する小説を続けて読んでいる。
今回は、奥山景布子『義時 運命の輪』。
裏表紙
北条義時。鎌倉幕府二代執権の座に就くまでの彼は、あまりにも無力だった。姉・政子と義兄・頼朝の非情かつ強烈な個性に翻弄され、父・時政にはないがしろにされ続ける。己が権力を持つことなど、考えることさえできなかった。運命の輪が回り始めるまでは――。権力者の死、そして、叶わぬ恋。鎌倉で合議制をする十三人にも選ばれた義時の半生を静謐な熱を込めた筆致で描く歴史小説。
永井路子『北条政子』、安部龍太郎『天馬、翔ける 源義経』において、北条義時は影のような存在。だけど、必ずどこかに義時がさりげなく描かれている。
義時は源頼朝の傍近くに仕え、頼朝亡き後は北条政子とともにあり、北条時政の陰に隠れるように仕えている。しかしながらこの小説は北条義時が主人公。表立った動きを控えていた義時が、やがて自らの意思に基づいて行動を起こし始める。
北条義時が三浦義村と謀り、覇権を確立していく過程が順序良く並ぶ。細かいところはさておいて、大筋のところ、北条義時は、畠山重忠、北条時政、和田義盛を排斥していく。
かくして北条義時は政所別当と侍所別当の二職を兼務することになり、鎌倉将軍家に仕えるすべての御家人、官吏の、最上位に君臨することとなる。
そうして将軍源実朝が公暁により暗殺されると、必然的に義時が中央政治の表舞台に立たされる。やがて後鳥羽上皇と義時の対立が抜き差しならなくなるが、承久の変により後鳥羽上皇を島流しにし、新たな天皇を擁立して鎌倉幕府の覇権が確立する。
その際、有名なのが、鎌倉武士に檄を飛ばす尼御台所北条政子。これが歴史を変えたことになる。
自らを表立たせることなく不思議な浮遊感を漂わせる北条義時の半生。