先日、宇土半島大岳山で遭遇した人から勧められた本。

 

内館牧子を知らないわけではないが、一冊も読んだことがなかった。蔦屋書店の新刊コーナーにあった。エッセイとかだったら買わないけど、小説なので「読んでみるか」という気になった。なにより読んだ人が勧めるのだから間違いなかろう、そう思って・・・。

 

ということで読み始めると、これまで読んだことがないのでむしろ違和感が先に立つが、まぁ、読みやすいのでスイスイ先に進む。

 

これはブレーキをかけながら読んだ方がいい。

 

それはそれとして『すぐ死ぬんだから』のタイトルどおり、高齢者は身につまされる話。ユーモアに包んで軽快なテンポ。

 

 

ここで裏表紙

78歳の忍(おし)ハナは、60代までは身の回りをかまわなかった。だがある日、実年齢より上に見られて目が覚める。「人は中身より外見を磨かねば」と。仲のいい夫と経営してきた酒屋は息子夫婦に譲っているが、夫が倒れたことから、思いがけない裏を知ることになる――。人生100年時代の大ベストセラー痛快「終活」小説!

 

どうも小説の登場人物と実年齢が近いので、小説の内容があたかもハウツー物のように思えてくるが、すぐに小説にのめりこんだ。

 

う~、面白い。

 

さすがにTVドラマ脚本家である。人物描写がさりげなく、それぞれの人物の個性が際立つ。その関係性が絶妙にして、セリフがいい。職人芸というか、名人芸というか。

 

ま、それはそれとして、自らの老いにどう立ち向かうかというテーマに関しては、豊富にディティールが積み重ねられる。

 

1ページごとに

「うむ、うむ」

と肯き、

「ある、ある」

と共感する。

 

いつしか食い入るように小説に没頭。

「自分ならどうだろうか」

とハナに寄り添いながらも、俯瞰する姿勢を保つ。

まぁ、しかし、老いという辛気臭い話をカラカラと明るく笑い飛ばすように軽快に進める筆力には、脱帽。

 

勧められなければ読むことのなかった本だが、人の勧めには素直に従ってみるものだ。

お薦めです。