蔦屋書店に取り寄せてもらった文庫本の一つ、安部龍太郎『浄土の帝』。
裏表紙
平安時代末期、末法の世。貴族たちの権力抗争は、皇位継承をめぐる骨肉の対立と結びつき、頂点に達した。鳥羽院の崩御を機に噴きあがった戦乱は、容赦なく帝をも巻き込む。崇徳院の悲劇、失墜する摂関家、寵臣たちの暗躍、そして美貌の后妃の思惑・・・。混迷を深める政情は、新たな権力者の登場を予感させる。朝廷が、帝が、権力を失っていく中で、自らの存在意義を賭けて理想を追い求めた後白河帝、激動の半生を描く歴史巨編。
う~む、後白河帝か~。
NHK大河ドラマで低視聴率に喘いだ『平清盛』に登場した。ま~、まさしく権謀術数渦巻く中で悪役のような感じだった。源平の盛衰とも関りを持つ印象がある。
この小説では、主人公。
どのように描かれているのか。
興味津々。
かくして物語を読み始める。人物相関図を横に置き、これを眺めながら物語の筋を追うのでなければ、わかりにくい。面白みに欠けるとしても致し方のないことだ。
さて、この物語に保元・平治の乱の章がある。対立構図は同じだが、少し異なるところもある。人物対比してみよう。
保元の乱
鳥羽法皇・美福門院・藤原忠通・信西入道・源義朝・平清盛
vs
待賢門院・崇徳上皇・後白河天皇・藤原頼長・源為義・源為朝・平忠正
平治の乱
後白河上皇・藤原信頼・源義朝・源頼朝
vs
二条天皇・美福門院・藤原光頼・藤原経宗・平清盛
保元・平治の乱を経て平安朝末期の世は変化の時を迎える。藤原不比等が祭政分離して以来、神事は朝家が、政は藤原氏が荷ってきた。そのやり方を改め、朝家が政まで行う制度を確立しようとする。その先駆けとなったのが後白河法皇であり、それを支えたのが平清盛。
その後、いかなる困難が待ち受けているのか。後白河法皇の前半生を描く。
タイトル『浄土の帝』の意味するものは、後白河法皇の理想とは何か。