文庫本の帯に“充実の第5弾”と記されている。杉村三郎シリーズ第5弾。
既刊は、『誰か Somebody』、『名もなき毒』、『ペテロの葬列』上下、『希望荘』。
これまでの全4冊を読んでいる。
『ペテロの葬列』を最初に読んだから、順序はバラバラだけど、ともかく読んだ。初めはベストセラー作家、宮部みゆきを読んだことがなかったので、何か一つ読んでみるか。そう思った。浅いけれど、宮部みゆきにはまったかもしれない。
シリーズ物は、背景、人物、境遇、職業などが事前にわかっているので、いきなり物語に没入する。前作の『希望荘』を読むとこれが面白かった。期待以上だったので、『昨日がなければ明日もない』も間違いなかろうと、迷わず手にしたというのが、これまでの流れである。
『昨日がなければ明日もない』は、
『絶対零度』、
『華燭』、
『昨日がなければ明日もない』
の3作品を収録。
文庫本の帯に“私立探偵・杉村VS.ちょっと困った女たち”と記されている。
む、む、“ちょっと困った女たち”“とな?
おお、これは面白いに違いない。
『絶対零度』
若い主婦が自殺未遂をして音信不通となった。その裏で起きていた陰惨な事件とは?
私立探偵杉村三郎の調査が始まると、一枚ずつ、秘密のベールがはがされていく。やがて深層にたどり着いてみれば・・・。
雨が続き、コロナ感染者が増え、そしてドロドロの人間関係を扱う小説を読めば、気分が沈むばかり。だけど、本を手放せない。物語に引き込まれていく。
『華燭』
近所に住む主婦の依頼で出かけた結婚披露宴で、杉村は思わぬ事態に遭遇する。
『昨日がなければ明日もない』
ある奔放な女性が持ち込んできた、「子供の命がかかっている」問題とは?探偵vs.ちょっと困った女たちの事件簿。
都会の片隅のどこかにありそうな設定。
どこかにいそうな登場人物たち。
どこかでありそうな事件。
だけど、すべてはフィクション。
このところ歴史小説しか読んでいないので、一冊だけ、現代ものを間に挟んでみた。気分転換になったかな。

