澤田瞳子『火定』に次いで『腐れ梅』。

 

古代を取り扱う小説を読んだことがないので新鮮に感じる。

 

季節は今、梅の花が咲いている。それにしてもタイトル『腐れ梅』とは、なんというか、品のない。それだけ人間味があるとも言えようか。

 

 

澤田瞳子を読むのは2作目だけど、どうもこれは嵌まったような気がする。

 

それはさておき、まずは裏表紙

平安京。美貌の綾児は、色を売る似非巫女。突然、同業の阿鳥から、四十年以上前に左遷先で死んだ菅原道真の霊を祀る社を作ろうと誘われる。都の怪異を菅公の怨霊の祟りと恐れる公卿たちから、寄進を得ようというのだ。半信半疑の綾児が、道真の憑座(よりまし)を務め始めると、孫を名乗る貴族が現れて……。世の中への怒りと漲る愛欲を活力として邁進する女と、都人の覇権の行方を描く悪漢のピカレスク小説。

 

 

う~む、これはまたなんというか、ハチャメチャな群像劇である。およそ綾児は物語の主人公に祭り上げられる類の者ではない。しかしながら世相を反映して繰り広げられる人間模様は、平安の世の実相をリアルに描いているように思える。

 

 

か~、これは当たりだ。

 

キャラがいい。なにより蓮っ葉な女のキャラがいい。物語がどうなっていくのか見当もつかないけれど・・・。

 

面白い。これは面白い。そうして熱にうなされるように読み進める。

 

解説の一文にあるように、「確かな歴史的知見に裏打ち」されているのが、創作に凄みを抱かせる。

 

これはまたなんというか、ノックアウトを食らった感じ。次もまた何か読むな、これは。