安部龍太郎の太平記シリーズ第一作の『道誉と正成』を読んでいる。
どのようにして読んでいるかといえば、自宅パソコンを起動させて、動作ができるようになるまでの間に読む。パソコンのスイッチを入れて7、8分くらいか。起床後、また仕事を終えて帰宅後にパソコンを起動させるとき、1日に2回、本を読む。これを1か月続けていると、いつの間にか半分くらいまで読み進んでいた。新聞の連載小説を毎朝読むようなものである。
安部版「太平記」は、先に第2弾『士道太平記 義貞の旗』を読み終えた。これは新田義貞の活躍を中心に書かれている。内容は『道誉と正成』と大体同じようなものである。
後醍醐天皇による建武の新政を支援する側と、これに不満を募らせ足利尊氏を支援する側との争い。これに後醍醐天皇の子息、大塔宮が絡む。
延々と争いが続くのであるが、最終的な結果がどうなるかは誰もが知っている。その中で誰がどのように考え行動するか。
『道誉と正成』では、佐々木道誉と楠木正成がダブル主役。互いを認め合いながらも、立場を異にする。
小説はあまり細かいところにこだわらず、大筋をなぞっているので、わかりやすく面白い。
ここで裏表紙の書き写し
時は鎌倉末期。後醍醐天皇率いる軍勢が挙兵し、討幕の機運が高まっている。強い者につく変節漢としてののしられても己の道を貫いた「バサラ大名」佐々木道誉。そして、天皇への忠節を貫いて華々しく散り、愛国の士としてもてはやされる「悪党」楠木正成。この国の未来を案じ、乱世を治めるべく闘った両雄の行く末は――。この国の礎が築かれた南北朝史に熱き一石を投じる大シリーズ、堂々開幕!!
『熊と踊れ』(上)を読み終え、仕事も年度末の行事を終えたので、残りのページは一気呵成に読み通すことにした。後醍醐天皇による治世を経た後、足利尊氏の室町幕府に至る。政治経済と日本各地を舞台として物語はダイナミックに展開する。群雄割拠、混沌とした世情であるが、これを南朝方は楠木正成、北朝方は佐々木道誉を描くことによって事の内実を明らかにするスケールの大きい物語。物語を読みながら背後にある「天皇とは何か?」を考え続ける。
マジで感動ものです。
これだから安部版太平記シリーズはやめられない。




