宮本輝の小説『流転の海』第七部『満月の道』。
読み始めれば、やめられない、とまらない。カッパえびせんのCMソングみたい。
あらすじ
年が明けて昭和37年、順調に伸びていた「中古車のハゴロモ」の売上が突如低迷しはじめた。伸仁は高校生になり、身長は熊吾を超えた。熊吾は、質の悪い情夫と別れられないでいる森井博美と再会し、不本意ながらその手切金の金策に奔走することになる。仕入担当の黒木は「ハゴロモ」の不自然な入出金の動きを嗅ぎ取った・・・・・・。運命という奔流は抗いようもなく大きく旋回し始める。
あちゃ~、森井博美や。
こらあかんで。
どないなんねん。
どないもならんがな。
などと関西弁をつぶやきながら、その実、小説としては面白くなってきたなと、はらはらしながら小説に没頭する。
あ~、やっぱりや。
こらあかんぞ、熊吾。
小説を読んでいるほうまで気が滅入るではないか。
なにが『満月の道』だ。坂を転げ落ちていくのではないか。
そう思っていると、一方で小説に占める比重が房江に傾く。
お、お、“がね”は房江ファンなんや。
ええなぁ、房江はん。
すると、『満月の道』とは房江が城崎で見る月。
そうこうしている間に、第七部『満月の道』を読了。
すると残りが第八部、そして第九部を残すのみになる。
宮本輝による第七部“あとがき”を読めば、第八部は房江が物語の中心に躍り出て、なにやらよからぬことをしでかしてしまいそうな感じ。読書以外で得た情報によれば、実際の宮本輝は一時期母を許すことができないほど憎んでいた、というではないか。きっとその辺のことが明らかになるのだろうか。
それにしても熊吾は歯がゆいくらいにどこか抜けているなぁ。


