Mont-bell books
野田知佑「日本の川を旅する」カヌー単独行
『尻別川』
羊蹄山の裾野を巡って日本海に注ぐ原始の川より抜粋。
倶知安は後志(しりべし)支庁の所在地で、人口約1万8000人。ニセコのスキー場で知られた町だ。
・・・・・・
それにしてもお寺の多いところで、この小さな町に13のお寺がある。一代目の人たちにとって信仰は唯一の楽しみで、同郷の者が集まってそれぞれお寺を建てたのである。
これがさりげなく記されている。
だけど、そのとき衝撃を受けた。
あっ、信仰とは楽しみなのだ。
宗教とは?
などと構えてしまえば話がややこしくなるけれど、困難な生活が続くなかでの息抜きであり、安らぎを得る手段として必要とされたのが信仰なのだ。
そして遠く離れた自らのルーツを確かめる行為でもある。
もう一つ、金と労力を出し合って建てる寺は、自らの成功を示す証でもあったろう。
無論のこと、三代目となり、さらに代を下れば、端からそこにあるものにて、数多くあるものの中の一つに過ぎない。かろうじて形が残されているが、必要とされる意味が薄れる。
さりげなく記されたこの箇所に出会っただけでも、この本は自分にとって価値あるものになった。
かじりはじめたばかりであるから、この後、どのような衝撃が待っているか。
益々、楽しみである。
尻別川と羊蹄山 ↑
直接に行くことはないにしても、おそらくは北海道弾丸バスツアーで移動する地域である。千歳空港から、洞爺湖、函館、札幌、小樽と移動しながら観光ホテルに宿泊し、食事をするだけながら、どこかで羊蹄山、尻別岳、昆布岳を眺めることができるのではないか。
などと、とぼけたことを言っちゃいけない。
洞爺湖といえば、有珠山、昭和新山であり、羊蹄山が見えることは稀なのだという。
あ~あ、これだから・・・。