9/7(土)泰勝寺跡(立田自然公園)の庭にある仰松軒(こうしょうけん・茶室)こそがお目当てである。

 

 

庶民の生活とはかけ離れた贅沢でありながら、見た目にはいかにも小さく貧相な佇まい。まるで農家のあばら家のようである。

 

 

世をしのぶ仮の住まいにひっそりとした息づかい。自然に溶け込むかのようである。

 

 

ここでは見学者の立ち入りができないようにしてあるのだが、池を回って茶室の裏木戸につきあたった。茶室を通らなければ、来た道を引き返すことになる。裏木戸を見ると、棒がかんぬきのように挟んであるばかりなので、いけないことだとは思いながら、閂を横にずらして戸を開けた。また閂を締め茶室の敷地内に入る。

 

静寂。

静謐。

 

 

茶室が建てられたときから幾星霜、いやますに古びている。もはや茶室を利用する人とていないのではないか。

 

茶室を通り抜けて表木戸に来れば、これは木戸をあけることができない。しかしながら、木戸の横に長い切り石が置いてあり、この石に足を乗せて生垣をまたぐと容易に出入りができた。同じように茶室に迷い込んだしまった人のためにそのような装置が整えられているのだと思わないけれど・・・。

 

 

※仰松軒(こうしょうけん)

武人でありながら、当時茶道にかけては国内随一といわれた細川忠興の原図に基づき、大正12年に復元されたもので、風流を極めた造りである。

茶室仰松軒の前庭に苔むした石灯籠と手水鉢がある。京都で忠興が愛用したもので手水鉢は豊臣秀吉や忠興の茶の師・千利休も使用したと伝えられている由緒の品である。

 

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