8/11(日)久住山の避難小屋までやって来たのだが、周囲はすっぽりと雲に覆われて見えない。
強風が吹いている。
気温は20℃以下ではないか。
ここまで歩いて来て汗をかかない。
冷たい栄養ジェルを飲み、水分を補給し、煙草をふかしながら、しばし様子を見る。
「久住山はここからどのくらいあるの?」
中1男子が聞く。
なにしろ久住山が姿を現さないのであるから、見当がつかないのだ。
ここで時間つぶしをする間、中1男子の父親から話を聞く。
「自分は小学生のとき、家族で久住山に来たことがある。親たちは避難小屋にいて一緒に来た子供2人で久住山に登ったのだけど、いつまで経っても子供2人が帰ってこない。避難小屋から久住山への途中に九重分かれがあり、中岳への道、星生山への道などがあり、間違えて他の道を進んだのではないか。そう親たちから心配された。」
この話を何度も聞かされてきたという。
中1男子の祖父は日本全国の山をめぐり、九州の山を踏破した。写真が趣味で、定期的に山野草写真展を開いてきた。
中1男子の父は小学生のときの九重以来、山に無縁だった。
中1男子もこの日が初めて。
ところが中1男子の興味の示し方は、祖父のDNAを受け継いでいると思わせる。誰も気づかない虹を見つけ、アサギマダラを見つける。なによりも2人は「来てよかった」を連発し、心から楽しんでいる。
避難小屋でじっとしていると躰が冷えてくる。
「よし、行こう!」
久住山の山頂に向けて出発。(続く)





