朝井まかて「落陽」を読むのは、直木賞「恋歌」、織田作之助賞「阿蘭陀西鶴」に続いて3作目。

前に読んだ2作ともに満足度が高かった。

朝井まかてに外れなし。

まずもって、そのような信頼感がある。

 

さて読み始めると、明治から大正へと移り変わる世。

三流の新聞記者が登場し、醜聞をネタに金を巻き上げようとする。

なんて下衆な野郎だ。何者だこいつ。

 

こいつが主人公の亮一。熊本五高、東京帝大中退の佐賀者で、三流新聞記者なんぞに成り下がり、実家から縁を切られた成れの果て。この亮一がまんまと金を巻き上げたところで、探索の者と料理屋で落ち合い分け前を渡す。

 

う~む、これは、いかなる小説ぞ。

どうも得心がいかない。

そのまま読み進めるしかない。

 

 

小説の舞台が三流新聞「東都タイムス」内に移ると、社主、その他の記者らも登場する。その中でこの時代や世の中の動きが描かれ始める。さてここで裏表紙の記述をそのままここに記しておこう。

 

明治天皇崩御――直後、渋沢栄一ら東京の政財界人は御霊を祀る神宮造営を計画、その動きは巨大なうねりになっていく。一方、帝国大学農科大学の本郷高徳らは、「風土の適さぬ東京に神宮林にふさわしい森を造るのは不可能」と反論、大激論に。東都タイムスの記者瀬尾亮一は、対立を追う同僚に助力するうち、取材にのめり込んでいく・・・・・・。

天皇と日本人の絆に迫る著者入魂作!

 

はい、三流新聞記者たちの奮闘努力の顛末を交えながら、上記の出来事を解き明かしていく人間ドラマ。庶民の視点から描くのが、朝井まかて。さまざまに幅広く考えさせられることの多い小説である。これが朝井まかてによる小説でなければ、堅苦しくてなかなか興味をつなぐのは難しかったんじゃないだろうか。

 

あいかわらず、雑なレポートだけど・・・。

 

 

ペタしてね