探しても紛失して見つからない本があるかと思えば、思いがけず出てくる本がある。
本を探したからこそ出てきたのであるが、
「おお、これは」
そう思って久しぶりに手にしたのは、
和の色を愛でる会「暮らしの中にある日本の伝統色」。
風雅な写真、オールカラー、125点。
日本の美意識が詰まった173色。
2年くらい前に買ったのだろうと思う。俳句を齧ってみようかと思ったとき、あきれるほど何も知らないと自覚する。天文、時候・地理、生活、行事、動物・植物。何も知らないのだ。これでは作句ができるはずがない。早々に俳句から撤退することにした。
それでも歳時記を数種類買った。草花に興味を持って調べるようになった。源氏物語を読んだりして多少なりとも知識を得ようとした。そんなときにこの本を買った。
色にも色々あるな、という訳である。
改めてぱらぱらとページをめくれば、一朝一夕に理解できるはずもない圧倒的な内容である。色についての説明は難しい言葉遣いをしているのではない。重要な要素を簡潔に記してある。しかしその一つ一つの色が豊かで深い存在である。如何に簡潔に記したとしても色が持つ意味を語りつくすことなどできようはずもない。
またしてもこの本に圧倒された。それでも手もとにおいてときどきはぱらぱらとページをめくることにしよう。


