川端康成「古都」の章「春の花」を読んだ。千恵子が庭の木の幹に咲いているすみれを愛でる冒頭の部分である。

 

何気なく読んでいると、その文章に5・7・5のフレーズがちりばめられているではないか。次々に俳句に使えそうな言葉が現れるので、驚いた。俳句を詠む、詠まないにかかわらず、詩情が満載なのだ。

 

以下は、遊びである。

「春の花」からの引用であるから、すべて春の句になるが、川端康成の言葉を借りたいわば盗作である。

「そりゃあ、あかん」

などと目くじら立てないでもらいたい。あくまでも戯れであり、がねの句などと言い募るつもりは毛頭ないのであるから・・・。

 

 

初春や腰まわりより太い幹

今年また春のやさしさすみれ咲く

すみれ咲くやや垂れている枝の先

すみれ咲く幹に小さき窪みあり

いつも咲く上下のすみれ知己なりや

すみれ咲く命と孤独思ひけり

初春や威厳と雅致の力こぶ

ひらひらと白あざやかに蝶の舞

苔の花青にほのかな影うつす

庭先のすみれにささやく花ぐもり

あるなしのそよ風に散るしだれかな

 

春はまだ先のことであるが、小説の中ではすみれ、桜の花が咲いている。

春が待ち望まれる。

 

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