坂本駅からそのまま球磨川沿いに車を走らせると、途中に取り壊し工事中の荒瀬ダムが見える。
車が離合できそうな道幅のある所に車を止めて写真を撮る。
ダムの解体工事が進められている。護岸工事も着々と進んでいる。工事は国土交通省八代事務所の所管か。
絲山秋子「離陸」に主人公サトーが所長として坂本を訪れるシーンがある。地元の人に古い河川地図を見せてもらいながらサトーが説明を受ける。球磨川は急流にして河川改修は難工事のはずだ。
「離陸」をジローに貸してあるので、「読んだか」と尋ねたところ「まだ」と答えた。虚と実となにがしかの接点があると思ったのだが、この時点で接点はなかった。後で、本を読んだとき「ああ、あのときの…」と、この日見た風景が甦るのかもしれない。
それでも小さな旅ができてジローは満足そうな表情をしている。時間と目的の制約がなく、坂本でただぼんやり時間を過ごしているだけのことだが、喜んでいる。
おまけに思いがけないほど天気がよくて暖かい。
のどかな一日なのだ。



