俵山の頂上には出会いがあった。
偶然同じ日の同じ時間に居合わせたというだけなのだが。
九州○○会という旗を持ったグループの近くで休憩したので、尋ねてみると、佐世保から来たのだという。それで、天山や古湯温泉、高校のときのエンタープライズ佐世保入港の話を持ち出すと、同世代であるから山も時代も記憶を共有していた。
佐世保の人が大根の味噌漬けを分けてくれたりして、おにぎりを食べながら、互いに山との関わりについて話をした。いつまでも話をしていても尽きない気がしたが、これからもう少し歩いて麓の温泉に行くからと去って行った。
他にも頂上の標柱を背景に記念写真を撮る人たちにシャッターを押してあげた。
俵山の登山者の半数はファミリーだった。子供連れの3家族やファミリーでの人がいて、その日の最年少登山者はやがて4歳になるという3歳の女児だった。
「すごいね。えらいね」と周りの人から声をかけられて、うれしそうな表情を見せてくれた。その子の兄、姉も声をかけてもらいたい様子が見えたが、残念ながら最年少の女児にはかなわなかった。
若いカップルや、女子だけの登山者もいて、頂上では“みんな仲良し”の雰囲気が充満していた。
頂上に吹く風は冷たくて、じっとしていると寒くなってきた。
上級者はここからさらに先まで足を延ばすのだが、カミさんに「どうする?」と尋ねると、「ここに来ただけで満足だ」というので、来た道を戻ることにした。
帰りは40分で俵山展望所に着いた。(続く)








