この日は長者原とくじゅう花公園の2カ所に行ってみようかと思っていた。元よりスケジュールはそのときの都合により臨機応変であっていいとも思っていたから、長者原ビジターセンターとタデ原湿原で時間を費やしたので、帰宅を考えると残された時間がなくなってもいた。
ただ、これまではひと様の車に乗せてもらうばかりで、自分の運転で来たことがなかったので、まずは道を覚えることが肝要と車を走らせ、くじゅう花公園に行くだけは行ってみた。
公園内には入らず、お土産を買って引き返すことにした。その途中にある赤川温泉で汗を流すことにした。赤川温泉には一度来たことがあって、場所が分かり易かったので覚えていた。
浴槽と露天風呂も写真を撮らせてもらうことにした。赤川荘の女将は自由にどうぞと言うし、温泉にいる客も全く気にもかけず、写真がとり易いようにむしろ協力してくれた。
「今日はたまたま客が多いけど、この頃、ずっと少なかった」
と女将が愚痴ったので、ブログに掲載して宣伝するのもありだと思う。
がねとしては、赤川温泉は野趣あふれる風情があって是非とも立ち寄ってみたいと思うのだが、好みは人それぞれというのか、カミさんには不評だったので意外だった。
何が気に入らなかったのかといえば、まず赤川温泉の周辺では硫黄のにおいがする。これを珍しいと気に入るか、空気が悪いと敬遠するか。次に温泉というのは正しくなくて、基本は冷泉である。カミさんはいきなり露天風呂に足を浸したところ生ぬるいというか、冷たかったので驚いた。ここではまず内風呂で身体を温めてから冷泉に身を浸すという順序が大事になる。さらには、髪や身体を洗うための湯は水道というか、真水であって欲しかったという。水道栓から出る湯は温泉そのもので少し濁っていて、これが気に入らなかった。
旅館や街中の銭湯と違い、赤川温泉はまさしく限りなく自然に近く、普通では得難い経験ができるところに価値があると言わなければならないのだが、カミさんにとっては全てが裏目だったことになる。カミさんとすれば冷暖房完備、設備の整った、きれいな温泉がいいのだ。
がねとしては「こんな温泉があるなんて知らなかっただろう。ワイルドだろう」と喜ばせたかったのだけど、大失敗の巻。
これから先、できることなら例えば“坊がつる”でテントを張りキャンプができたらいいだろうなんて密かに夢想しているのだけど、カミさんにしてみれば“トンデモナイ”ということになりそうだ。
もっともテントを張ってキャンプだなんて実現性はなく、今のところ夢に過ぎないのだけど。まぁ、そんなこんなで夫婦であっても考えることが違うのだから、何をするにも難しい。







