谷さんは80前のばあちゃん。息子と2人でアパート暮らしをしていた。生活保護世帯であった。息子は朝から酒を飲んでいた。ある日、近所の人から「虐待が日常的に行われているようだ」と通報があって、市役所の福祉課が動いた。
谷さんの介護保険での要介護度は2だったか。福祉課、地域包括支援センター、それに息子が話し合いを持った。谷さんを保護するために2人を引き離して、特養ホームに入所して様子を見ようということになった。
特養に入所した谷さんはみるみる元気になった。痛めた足も順調に回復していった。元々、自宅へ帰れるようだったら帰ってもらおうと話し合いがなされていた。
入所に際して、谷さんの年金手帳と預金通帳を特養ホームが預かった。谷さんは年金が一番の気がかり。通帳を返せとホームの担当者に訴えた。返さなければ社会保険庁に言うぞ、と。
昨今、これほど社会保険庁が正義の味方だと思われているのも珍しい。一方、福祉課は悪の代表である。息子との暮らしを引き離し、年金手帳や通帳まで取り上げた盗人と呼ばれた。特養ホームの担当者は盗人の手下である。(続く)