外にばかり出かけていて、ウチでご飯を食べることが少ない。その日も夕方からプライベートな会合があり、時間に追われていた。5分で軽く夕食をとって出かけようとしていた。
ん?!
ちらし寿司。何、今日?
誕生日。おっ、そうだった。うちのカミさんの誕生日だった。知らないわけはない。当たり前だけど…。ただ、意識が外にしか向いていなかった。
夜の会合を終えてうちに帰ったのが、午後10時頃。二男のジローはまだ帰っていなかった。缶ビールを開けた。ちらし寿司に乗せられるはずだったまぐろは、「づけ」になっていた。
姉から電話があった。明日、お昼をごちそうしてくれるって。一人だけ覚えていてくれた。
カミさんはそう言った。
・・・・・
11時頃になってジローが帰ってきた。居間で歓声が上がった。はずんだ声がしていた。下りてみると、薔薇がキッチンに飾ってあった。