日本演芸若手研精会は50年近く続く伝統ある落語会です。稲葉守治さんが若手育成のために作った二ツ目固定メンバーによる勉強会です。稲葉さんはその後お亡くなりになり、私は今もお世話になってる加藤浩さんが主催を引き継いで2014年からメンバー加入となりました。


 過去のメンバーは錚々たる面々で、研精会のメンバーに入りたいなと常々憧れていたのでメンバーに加入した時の喜びは忘れられません。私は二ツ目中盤からの加入なので、中ではそんなに長い方ではありませんでしたがずいぶんお世話になりました。研精会のお客様は耳が肥えてて落語に対して一家言持ってる方ばかりだったので、お客様のご意見で気づいたことが沢山あります。一番優しくて一番怖いお客様でした。我々若手噺家のお父さんお母さんのような温かい視線を感じるお客様ばかりだったように思います。


 そんな研精会もコロナ禍で開催が厳しくなり、今回の卒業公演でもって定期的な開催はお開きということになりました。今日はその休会していた間に真打に昇進した我々五人(柳勢、柳枝、志ん雀、昇々、宮治)の昇進披露公演ということで開催されました。なんとも楽しいメンバーなのに打ち上げもなく潔く解散が悲しい。コロナ憎しです。


 昨日はOBということで口上に夢丸兄とこみち姉が並んでくれました。我々後輩に対する温かい目線が嬉しくて、人柄も尊敬するお二人に並んでもらえたのは嬉しいです。そしてライバル達の高座を聴いてなんだか自分の高座を省みてしまって自分はまだまだ稽古が足りないなと。やっぱり研精会のメンバーって素晴らしいなとつくづく感じました。寂しいなぁ。そんなわけで昔から卒業式で一人泣いてるタイプの私です。今後もOB会はたまに開催するとのことですのでその際は何卒よろしくお願いします。


柳枝