17日土曜日、浅草演芸ホールの披露興行二日目の主任興行が終わり、僕の出演は千秋楽を迎えました。当初心配されていました雨予報は前日に作ったてるてる坊主効果なのか曇天模様となり、幟も5本立てる事が出来ました。


 恐らく今後トリを取らせて頂ける機会があったとしても5本も並ぶことはもう無いと思います。貴重な機会です。神様がなんとか形にしてくれたに違いありません。ありがたやありがたや。

 土曜日ということもあり蔓延防止重点措置最中にもかかわらず、大勢のお客様にお越しいただきました。誠にありがとうございます。一階はほぼ満席。二階にもお客様がしっかり入って、熱気が高座まで上がってくる感じ。これぞ披露興行といった雰囲気で演者も皆さんノリノリでした。


 楽屋にはお手伝いやお祝いに仲間が来るのが恒例です。僕は他協会の仲間ともよく仕事をしてきたので、ありがたい事に垣根を越えてみんなが来てくれます。悔しいかな感染防止の観点から人数制限を設けているので楽屋に来るのも予約制なんですが、そんな中でもみんなが来てくれるのは嬉しくて涙が出ます。

 14日は芸術協会から昇也さんが。17日は宮治さんと吉好さんが。上方の優々さんも来てくれました。うちの協会からは14日に馬久さんとあずみちゃんが、17日には扇ちゃんが、手伝いに来てくれました。一門からは番頭のぴっかりさんをはじめ一蔵さん、朝之助さん、毎回日替わりでたくさんの仲間が手伝いに来てくれます。







 浅草演芸ホールのトリの高座は他の寄席に比べると少し短めです。だいたい他の寄席が25分から30分だとすると、浅草は20分から25分。5分短いことになります。微妙な差異に思えますが、実はこの5分は大きい。演るネタもずいぶん変わってきます。少し短めに編集して14日に「佐々木政談」17日に「火焔太鼓」をかけました。浅草演芸ホールはなんとなく聴かせるネタより笑いの多い明るいネタを選びたくなりますね。

 「火焔太鼓」を終えて高座を降りると残って聴いてくれてたうちの師匠からアドバイスがありました。「あのセリフを言うと人物のデッサンが狂う」…改めて大事な事だと気付きました。笑い欲しさに人物像がブレたんだと思います。まだまだです。改めて師匠のありがたさを感じます。師匠のアドバイスには落語の良心が詰まってます。真打になったら誰も何も言ってくれなくなるんじゃないかと不安でした。僕には師匠がいます。これがどれだけ心強いか。本当にありがたいです。


 残るは池袋演芸場と国立演芸場です。世の中の感染状況は日に日に悪くなっていきます。また緊急事態宣言を出すとかなんとか…もう嫌がらせのようにどこまでも苦しい日々が続きますが乗り越えてやろうと思います。皆さん、感染対策をしっかり取ってお祝いにいらしてください。よろしくお願いします。

柳枝