3月21日より始まった披露興行もそろそろ折り返し地点。昨日無事に新宿末広亭が千秋楽を迎えました。私は4月5日に「明烏」4月8日に「妾馬」を勉強させていただきました。ありがとうございました。

 今日から浅草演芸ホールにて披露興行が行われます。昨日は新宿末広亭から浅草演芸ホールへのお披露目の引越しでした。高座の飾りや楽屋の道具を一切合切次の寄席へ運ばなければいけません。披露目期間中は千秋楽の日に必ずこれをやります。

 昨日も末広亭夜席の㐂三郎兄の高座が終わったら急いで荷物をまとめて、レンタカーで借りたバンにどんどん荷物を積んで浅草演芸ホールに運び込みました。主に仕事をしてくれるのは後輩達、つまり各新真打の番頭さんと二ツ目仲間と前座さん達です。引越し業者も運送屋も頼みません。みんな噺家がやります。

 忘れ物が無いようにチェックしてお席亭に御礼の挨拶をして、次の寄席に移動。車に乗りきらない人は電車で移動します。次の寄席に着いたら後ろ幕や飾りを本番と同じようにセットして不具合が無いかをチェック。作業は夜席後になりますので深夜にまで及びます。前座さんと後輩達と寄席のスタッフさん達は新真打のために遅くまで働いてくれます。本当に頭が下がる思いです。

 結構大変なのが後ろ幕のチェック。実は高座の大きさは各寄席で異なります。末広亭は高座が他の寄席に比べると小さいので後ろ幕も折り込まないと掛けられません。かといって適当に折り込んでしまうとせっかくの絵柄や文字が隠れてしまいます。デザインが隠れないように折り込んで掛けなければいけない。これはすごくセンスの問われる作業です。前座さんの腕の見せ所だったりします。



 例えばこれは私の後援会からいただいた松羽目ならぬ柳羽目の後ろ幕ですが、上の写真の鈴本の時に比べると、下の写真の末広亭では柳の木が少し小さくなってるのがお分かりでしょうか?真ん中を中心に少し折り込んでます。よく見ると折り目が分かります。こういうのを確認しながら一つ一つ準備をしていくんですね。


 口上のリハーサルなんかもやります。どこに座ればバランス良く見えるかも確認します。これは3月31日の鈴本から末広亭への引越し時のリハーサル写真。この写真に並んでるのはもちろん幹部ではありません。上手から美るく、和泉、駒平、市松、まめ菊、です。一番左は末広亭の北村会長です。こうやって準備していくんですね。

 とにかく今回披露目を経験してよく分かったのは見えないところで多くの仲間達の協力があって成り立ってるということです。幸いにも多くの後輩が僕を手伝いに来てくれます。涙が出るほどありがたいです。彼らのためにも興行を成功させなければいけない、お手本になるような披露目にしたい、そう思って下帯を締め直す気持ちになりました。残り僕のトリは6日間です。是非とも遊びにいらしてください。

柳枝