朝8時起床。今朝はゆっくり眠れた。午前中は今日は決まった予定は無いのだ。このホテルはバスタブが付いているのでお湯をためてゆっくり入る。意外にお湯に浸かるだけで疲れが取れるもんだ。日本人はやっぱりお風呂が好きなのね。
イギリスは食べ物が美味しくないと聞いていたが、いやいやそんなことない。今のところ今回のツアーでは他国も含めそんなに不味い物には当たってない。ここのホテルの朝食も実に美味しい。いや、むしろ朝食に関してはこちらの方が日本よりバラエティーに富んでいるのではないか。
喬太郎師匠に朝食会場で会うと「正ちゃん、時間あるようなら頼まれてたお稽古しようか」と言って頂く。ありがたい。イギリスにて落語のお稽古だ。すごく新鮮。喬太郎師匠のお部屋でさっきまで師匠が寝てたフワフワのベッドの上に着物で座って喋る。色々アドバイスをしていただきアゲのお稽古無事に終了。
その後馬場さんは原稿を書く作業があるとのことで部屋に残り、他の4人でパンティングに出かける。パンティングとは市内を流れるケム川の船遊びのこと。早い話が「船徳」とか「夢金」よ。ケンブリッジという名前は「ケム川に架かってる橋」という意味で「ケンブリッジ」なんですって!へー。
自分で漕ぐタイプと船頭さんに漕いでもらうタイプがあるが、なかなか進まないと困るので漕いでもらった。僕たちを担当した船頭さんが女性を目指しているであろうでっぷりと太ったお兄さん。バッチリ化粧をしている。棹をさす度に服がめくれ上がってお腹が見える。一生懸命漕いで説明してくれるのだがどうしても日本語の吹替にすると「~なのよ♡」と言ってるように聞こえてしまいイマイチ説明が頭に入ってこない。
その後いよいよケンブリッジ大学の教室にて落語会。今回のツアー3回目の公演だ。日本人のお客様数名とケンブリッジの学生さんで構成される50名の客席。
日本語を理解できる人がやたら多い。反応がすごく良いもんだからなんの不安もなく喋れる。やっぱり頭が良い人が多いからなのかなぁ。喬太郎師匠のゴジラ再現のパフォーマンスも熱が入ってる。僕の「反対俥」もほぼ日本と同じ反応。もしくはそれ以上(笑)たぶんこの先の噺家人生でここより偏差値の高い学校での学校寄席はないであろう…
今回担当してくれたモレッティ先生(この先生も落語が大好きなようで「落語を聴くと癒されます」と仰ってた、ひょえーー)と日本から明日の講演の為に来ていた青学の佐藤桂先生、そして昨日案内してくれた学生さんや非常勤の先生、我々を含めてみんなで食事。ほぼ全員日本語ペラペラの外国人女性。こんなシチュエーションは今まで見たことない。みんなすごいや。
レストランでは私はギネスビールが隠し味になってる牛肉グレイビーソース煮込みのパイ包みを注文。ビールは地ビールのIPA。フルーティーな香りが鼻孔に抜けて飲みやすいがコクもしっかりある。美味しかった。
レストランからの帰り道、喬太郎師匠が学生さん達の案内の会話を聞いてて大笑い。
テシさん「このカレッジの名前は…うーんとメルさん、なんでしたっけ?」
メルさん「メルわかんない」
テシさん「確かここは一番小さなカレッジなんですよね!?」
メルさん「へーそうなんだー」
いいコンビです(笑)
ホテル前で皆さんとお別れをする。メルさんの我々に対する笑顔で発した最後の言葉が最高。
「あーばよ!」
今日師匠がやった「うどん屋」の酔っ払いのセリフで覚えたんだな。喬太郎師匠もニコニコしながら「あーばよ」と返していた。
師匠「正ちゃん、ああいうのキュンキュンするなぁ」
僕「まったくですなぁ」
部屋に戻って荷造りをしてシャワーを浴びる。ケンブリッジはとても良い街だった。イギリスの伝統と格式、そして学問の殿堂といった風格を感じさせてくれる。まさに威風堂々だ。イギリスは絶対にまた来る!明日はいよいよ最後の国アイスランドへ向かう。お休みなさい。