進め!正太郎


僕の好きな映画館の一つに「目黒シネマ」 という古い映画館があります。

いまどき珍しい二本立て興行の映画館です映画


僕が物心ついた頃からありますから相当古いはずです。

ところが施設の古さが気にならないような素敵な映画館なんですよニコニコ


上映する作品にそれなりにこだわりが感じられることと、スタッフが

色々なアプローチやサービスでお客さんに映画を見てもらおうと

頑張ってる姿がとても素敵なんですよ音譜


劇場全体にあたたかい温もりや手作り感があふれる素朴な劇場です。


今回は夏休みという事でアニメーション映画二本立てです。

『イリュージョニスト』と『ファンタスティックMr.フォックス』です。


おいおい…。あんまり子供が喜ぶアニメじゃないでしょ(笑)

夏休みアニメ特集っていうからてっきりもっと子供向けかと思ったよ。

案の定、劇場内は映画が好きそうな大人しかいませんでした汗


『イリュージョニスト』はフランスの喜劇王ジャック・タチの脚本を

原作にして、『ベルヴィル・ランデブー』のシルヴァン・ショメが作った作品。


なにしろ『ベルヴィル・ランデブー』はめちゃくちゃ面白かったから、

期待はかなり高まりますね。観てない方は是非レンタルしてください自転車


でも正直『イリュージョニスト』は『ベルヴィル・ランデブー』ほど

面白くなかったですね・・・。う~ん、嫌いじゃないけどこの話は悲しいなしょぼん


フランス人老手品師とイギリス人少女の交流と描いたアニメーションですが

物語にさほど起伏があるとは思えないし、案の定の結末を迎えます。


この老手品師は温厚で誇り高くとても良い味を出しているのですが、

イギリス人少女がいまひとつ可愛げが無いというか、わがままというか…。

あまり好きになれん。もっと純粋無垢な女の子に描いてほしかったかな女の子


なによりこの作品で僕が悲しくなるのは主人公が芸人という点。

それだけでなんとなく爺さんに感情移入してしまうのですよ汗


都会の劇場で少ないお客さんを前に目新しくない芸を披露して

まばらな拍手をもらって、楽屋でため息をつきながら衣装を脱ぐダウン

そんな悲しいマジシャンやピエロの姿にどうしても自分を重ねてしまう。


老いた芸人の悲しさ、現実と向き合う時のどうしようもない絶望感、

ただ捨てきれない芸人としてのプライド、そんなものが描かれています夜の街

チャップリンの『ライムライト』を思い出しました。


相変わらずショメ監督の絵は素晴らしいですけどね絵筆

脇役一人一人まで本当に良い顔してるんですよね。見逃せません。

絵を見てるだけでもかなり楽しめます。


星は☆☆☆★★


残念ながら前作『ベルヴィル・ランデブー』は超えられなかったかな…。

ジャック・タチの脚本を借りながらも彼の監督作品にも及ばなかった。

でも芸人の悲しさや絵の素晴らしさ、お洒落な雰囲気は必見です音譜